研究課題
研究代表者は、マウス6番染色体近位部に位置する新規父性発現インプリンティング遺伝子 Peg10 を報告している。驚くべきことに、Peg10 は ORF1 および ORF1 が -1 フレームシフトをして翻訳される ORF1-2 融合タンパクを持ち、それぞれがフグの Sushi-ichi レトロトランスポゾンの Gag タンパクおよび Pol タンパクに高い相同性を示すレトロトランスポゾン由来の遺伝子であった。Peg10 の機能解析を行うために、既に研究代表者は Peg10 KO マウスを作製し、 Peg10 が胎盤形成に必須な機能を持つことを明らかにしている。しかしながら、レトロトランスポゾンの Gag, Pol タンパクに由来する Peg10 ORF1 および ORF1-2 融合タンパクの機能については不明である。そこで本研究課題において、 ORF1 および ORF1-2 融合タンパクの詳細な機能解析を行い、 ORF1 および ORF1-2 融合タンパクに機能的差異があるのか、また、それぞれ ORF に存在する機能ドメインの解析を行うことを目的としている。Peg10 ORF1 には CCHC zinc finger domain が、 ORF2 には DSG protease domain が存在している。目的遂行のために、研究代表者はゲノム編集技術 「CRISPR/Cas9」 を用いて、 Peg10-ORF1 マウス、 Peg10 CCHC mutant マウスおよび Peg10 DSG mutant マウスの作製に成功した。Peg10-ORF1 マウスに関しては、ORF1およびORF1-2 融合タンパクを認識する抗体を用いてウエスタンブロットを行った。その結果、研究代表者の予想通りにORF1だけが翻訳されているマウスであることが確認できた。
2: おおむね順調に進展している
本研究の遂行に必要な Peg10 の様々な変異マウスをゲノム編集技術 「CRISPR/Cas9」を用いて作製に成功しており、またその機能解析も開始できているので、おおむね順調に研究計画が進展している。
昨年度までに作製した Peg10 の様々な変異マウスを用いて、機能解析を行う。
学会に行かなかったので、旅費を使用しなかったため。
旅費として使用する。
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Development
巻: 141 ページ: 4763-4771
10.1242/dev.114520.