研究課題
本研究の目的は、海洋微生物探査が産する全地球規模の海洋メタゲノムデータと物理化学的環境データに基づき、巨大ウイルスの生態学的役割を解明するために、バイオインフォマティクスによる包括的エコシステム解析を行うことにある。本年度(平成28年度)は、昨年度開発した高度縮退プライマーセットを利用し、巨大ウイルス(メガウイルス科)の多様性を、大阪湾で採取・抽出したDNAを鋳型として解析した。その結果、1サンプル中に、6000以上の巨大ウイルス種を含有していることを明らかにした。これは、一地点(1サンプル中)におけるメガウイルス科の多様性を世界で初めて特徴づけた結果である(論文執筆中)。また、Tara Oceans海洋探査から得られた世界規模メタトランストランスクリプトームを解析し、巨大ウイルスも含めて、真核生物に感染するウイルスが、どの地点のどのサンプルでもアクティヴに感染している様相を解明し(Nature投稿中)、現在、物理化学的環境パラメタとの相関を解析している。同時に、本年度(平成28年度)は、巨大ウイルスの多様性と、宿主との相互作用を解析するための手法を開発し、2報の論文(mSphere, Bioinformatics)として発表した。昨年度開発したVirus-Host DB (Virusesに報告)と合わせて、今後の海洋巨大ウイルス研究を支える基盤技術となると考えている。3年間の研究成果は、13篇の科学誌にて公表されている(内、Science 4報、Nature 1報、ISME J 1報を含む)。物理化学的変数、宿主との関係に関しては解析が遅れたので、今後の課題として残る。
Virut-Host Database, ViPTreeはウイルスゲノム・宿主解析のためのツールTaxonomyは系統分類群解析のためのツールMGENESはメタゲノムデータベース
すべて 2017 2016 その他
すべて 国際共同研究 (5件) 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 5件、 査読あり 6件、 謝辞記載あり 6件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 2件、 招待講演 4件) 備考 (4件)
Bioinformatics
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
10.1093/bioinformatics/btx157
mSphere
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http://www.genome.jp/virushostdb/
http://www.genome.jp/viptree/
http://www.genome.jp/tools-bin/taxsummary
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