今年度は、DNA/LNAオリゴを次世代シーケンシングsRNAライブラリー作成時に使用した場合と使用しなかった場合での、pre-miRNAライブラリーと成熟型miRNAライブラリーにおけるmiRNA出現頻度を生命情報科学解析により調べた。pre-miRNAライブラリー作成においてDNA/LNAオリゴを用いた場合はpre-miRNAと成熟型miRNAの出現頻度は用いなかった場合に比べて各約5倍、約1000倍多かった。成人(82歳男性)および胎児(29週齢男性)の脳細胞全RNAサンプルにおいて顕著な差は認められなかった。成熟miRNAライブラリー作成においてDNA/LNAオリゴを用いた場合はpre-miRNAの出現頻度は用いなかった場合に比べて約2倍多かった。しかし、成熟型miRNAの出現頻度は用いなかった場合に比べて顕著な差はみられなかった。成人および胎児の脳細胞全RNAサンプルにおいて比較したところライブラリー間で顕著な差は認められなかった。 次に、各ライブラリーにおけるゲノムへのリードタグマップ率を調べた。DNA/LNAオリゴを用いたpre-miRNAライブラリーでは約35%、DNA/LNAオリゴを用いてないpre-miRNAライブラリーでは0.04%だった。また、成熟型miRNAライブラリーでは、DNA/LNAオリゴの有無に関わらず約70%だった。これらのことから、DNA/LNAオリゴを用いると、pre-miRNAライブラリーにおいてはpre-miRNAおよび成熟型miRNAの出現頻度を上昇させ、マップ率が約900倍改善されることがわかった。 さらに、DNA/LNAオリゴを用いた場合と用いなかった場合で、個々の成熟型miRNAリードの出現頻度の比較を行ったところ、相関係数が成人サンプルでは0.9878、胎児サンプルでは0.8791になった。
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