研究課題/領域番号 |
26430192
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
山田 亮 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50301106)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 決定理論 / ベイズ統計 / 遺伝情報 |
研究実績の概要 |
ゲノム情報と多様なオミックス系バイオマーカー情報とを活用する個別化医療の実現を念頭に置き、不確かさの避けられない情報を用いた臨床判断に関する研究である。 初年度の情報収集(マルチアームド・バンディット理論、臨床治験・臨床判断、計算機環境の変化)に基づき、初年度は、少標本サイズでの判断支援のための、ベルヌーイ事象の二者択一分岐判断を実装した(正確確率法とモンテカルロ法)。初年度の段階で、予備的な結果として、列選択肢への誤った収束の出現が、非確率的選択戦略によって引き起こされること、explorerの存在がそれを回避することまでを確認していた。 本年度は、初年度の実装プログラムのパフォーマンスを、使用言語を改変することを通じて高速化するとともに、ベルヌーイ2事象の選択問題の詳細について、検討を加えた。検討を加えるにあたり、成功確率の推定をベータ分布に基づいておこない、その期待値と期待値以外とを指標に判断をする集団を設定し、その集団全体としてのパフォーマンスの良さと、選択肢の真の成功率、集団の決断特性との間に、非線形な関係があることを見出した。その成果を、国際学会で口頭発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の基礎的な調査と研究資源の作成に引き続き、最も基礎的な決断条件について、非常に詳細な検討を実施することができた。その結果得られた知見は、現実的な医療・遺伝上の決断現場にも、比較的簡易なメッセージとして伝え得る内容であった。それらの詳細な検討結果は、しかるべき国際学会で成功裏に発表できた。以上から、おおむね順調と考える。 また、第3年度に向けて、検討するべき課題も明確になっており、成果発表(国際学会の口演は受理済み)が確実であるとともに、誌上発表に向けた研究の総括も開始できていることも付記する。
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今後の研究の推進方策 |
ベルヌーイ事象の二者択一決断場面での検討の結果、非常に有用な知見が得られているので、それをさらに精緻に検討することが重要であるとみなされた。特に、典型的な2群の比較の結果を、真の集団になぞらえて検討するために、ヘテロな決断特性個人の集団としたうえでの検討を進める予定である。 また、その検討を併せ、学術集会・学術誌への成果発表のためにより精緻に条件設定・シミュレーション実験を繰り返し、それらをまとめる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
発表経費などが高騰しており、成果発表に備えて、繰り越しての使用がよいと考え、今年度の旅費等を倹約した。
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次年度使用額の使用計画 |
成果発表費など、使用の意義が大きい費目での使用を計画している。
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