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2014 年度 実施状況報告書

遺伝的多様性の解析による植物の自生、外来の識別と保全への応用

研究課題

研究課題/領域番号 26430208
研究機関独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構

研究代表者

池谷 祐幸  独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 果樹研究所品種育成・病害虫研究領域, 上席研究員 (10391468)

研究分担者 岩坪 美兼  富山大学, 大学院理工学教育部理学領域, 教授 (10201344)
兼松 聡子  独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 果樹研究所リンゴ研究領域, 主任研究員 (40355433)
間瀬 誠子  独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 果樹研究所品種育成・病害虫研究領域, 主任研究員 (10355365)
研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード種内倍数性 / 栽培植物 / 史前帰化植物
研究実績の概要

リンゴ属植物の倍数性をフローサイトメトリーにより解析した。その結果ズミでは、北海道と本州中部では2倍体、東北地方では4倍体であり、エゾノコリンゴは4倍体であった。一方、九州地方のリンゴ属は集団により倍数性が異なり、大分県日田市のズミ自生集団は3倍体、佐賀県唐津市のズミ自生集団は2倍体、えびの高原のノカイドウ自生集団は3倍体、熊本県美里町のツクシカイドウ(野生絶滅)は3倍体、宮崎県高鍋町のタカナベカイドウ(野生絶滅)は2倍体であることが判明した。これらの植物は自生地が極めて小さいか野生絶滅であるため、集団サイズの減少に際して倍数体が生き残った、ないしは移住してきた倍数体が小さい自生集団を作った等の可能性が考えられる。
また、一部の個体について正確な染色体数を決定した。その結果、2倍体は2n=34、3倍体は2n=51、4倍体は2n=68となり、異数体ではない正倍数体であった。
モモについて、日本国内の野生化集団、日本本土の在来系統(近代以前から栽培されていた植物の子孫とされる系統)、琉球地方の在来系統、現在の栽培品種の祖先品種を含む近代初期(明治年間)の導入品種を材料として、集団遺伝学的な解析を行い、集団構造を推定した。その結果、野生化集団と日本本土の在来系統では同一の祖先集団が推定された。しかし、どちらのグループでも近代導入品種の影響の見られる個体が混在していた。また、琉球地方の在来系統は独自の祖先集団が推定されたが、西日本(特に九州)の野生化集団でも同じ祖先集団の影響が見られた。
この他、アメリカ合衆国ボストン市のハーバード大学植物標本館で標本調査を行い、特に、ツクシカイドウとタカナベカイドウに類似する東アジア産リンゴ属植物の有無を調べた。さらに同大学附属アーノルド植物園で植物の調査を行い、東アジア原産のリンゴ属植物から遺伝子調査および倍数体調査のための試料を採取した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

リンゴ属植物の研究では、種内、種間での倍数性多型が予想通り見いだされた。ただしノカイドウ野生集団の病害解析は、調査に必要な許可を得るのに時間がかかり、本年度は着手できなかった。その一方で、平成28年次に計画していたモモの集団遺伝学的解析に着手して解析することができた。

今後の研究の推進方策

リンゴ属植物の研究では、各集団の現地個体および現地外での栽培個体から得た実生個体の倍数性及び遺伝子型を解析し、交配様式(有性生殖か無融合生殖か)を推定する。またノカイドウ野生集団の病害解析では、必要な許可が得られたため野外調査を実施する。
モモについては、海外から導入した遺伝資源を加えて解析し、琉球在来系統との類縁関係を検討する。

次年度使用額が生じた理由

えびの高原での調査許可を得るのに時間が掛かったため、現地調査を行わなかった。また、これまでの調査で収集していた材料による解析を優先して行った。

次年度使用額の使用計画

えびの高原での調査は調査許可を得たため、本年度予定の他の調査と併せて実施する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2015

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 日本の野生化モモと栽培モモの遺伝的関係2015

    • 著者名/発表者名
      池谷祐幸,間瀬誠子,八重垣英明,澤村豊,末貞佑子,山本俊哉
    • 学会等名
      日本植物分類学会第14回大会
    • 発表場所
      福島大学
    • 年月日
      2015-03-06 – 2015-03-08

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公開日: 2016-05-27  

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