研究課題/領域番号 |
26430209
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研究機関 | 大阪市立自然史博物館 |
研究代表者 |
松本 吏樹郎 大阪市立自然史博物館, 学芸課, 学芸員 (90321918)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 外来種 / 分布拡大 / 市民調査 / 相互座用 |
研究実績の概要 |
webページ、メーリングリスト、およびtwitter等のSNSを利用して、広く一般から分布情報の募集を行い、186件の分布情報を得た。これらに基づいて逐次分布図の更新を行い、情報提供を行った。2015年以前には確認されていなかった滋賀県大津市、奈良盆地南部(橿原周辺)、和歌山市南部、兵庫県明石市西部で分布が確認された。これらの分布境界線から離れた滋賀県マキノ町でも1個体確認されており、人為により移動したケースと考えられた。また、すでに分布拡大が確認されている淡路島からの移入の有無を確認するため、鳴門市で調査を行ったが、確認されなかった。四国にはまだ侵入していないと考えられる。以上のように広く市民に情報提供を呼びかけ、実際に調査を行ってもらい、それを目に見える形で公表する事により、分布の拡大の様子を克明に記録することが出来、また市民の外来種への関心を高めるといった普及効果も得られている。 これまでの調査で少なくともアカハネオンブバッタは初夏と9月頃にピークをもつ年2化の発生を示すと考えられていたが、11月に若齢幼虫が見らること、3月に成虫や若齢幼虫が確認されたことから、オンブバッタのように発生期や越冬態が決まっているというよりむしろ、通年発生を繰り返し、低温により成長が止まり、その時点の発生段階で越冬を行っていることが推測された。 中国のサンプルを入手し、解析に加えたところ、日本に移入した個体群で見られる2系統のうちの1つと極めて近縁な配列をもつことが明らかになり、当該地域からの移入が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
アカハネオンブバッタの分布は中心である大阪平野から東西南北いずれの方向にも、急速に拡大しているが、その過程は一般からの情報収集や申請者の調査が順調に進んでいるため、記録できている。わずかながら中国の個体群の配列を解析に加えることが出来たため、移入個体群の由来に関しての考察も進んでいる。異種間でのマウント行動による在来種の繁殖への影響についてはさらに観察例を増やす必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
分布拡大のモニタリングに関してこれまでと同様にwebページやSNSを利用して広く情報募集を行う。特に分布拡大の前線となる地域に注目する。分布状況の公表をすみやかに行い、一般市民の外来種への関心や普及効果を高める。在来種とアカハネオンブバッタの異種間の配偶行動の調査の観察例を増やし、繁殖干渉等の影響について顕彰をすすめる。 可能な限り中国産のサンプルの入手に努め、解析に加えることによって、移入個体群の由来の推定をすすめる。
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次年度使用額が生じた理由 |
概ね予定通り使用したが、実験補助の人件費が未使用であった。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額はわずかであるので、次年度は予定通り研究をすすめる。
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