研究課題
Zscan4はマウス着床前胚2細胞期とES細胞で特異的に発現することが知られている。マウスES細胞は、少なくとも9回の継代のうちに一度の割合でコロニー中モザイク状の” Zscan4陽性の遷移状態”を経ることが示されている。この状態は、あたかも着床前初期胚を模倣するepigenetic修飾の変化やzygotic遺伝子群の活性化を特徴とする。また減数分裂に関連する遺伝子のectopicな発現やセントロメア領域heterochromatinの集合が観察されるなど、生殖細胞における挙動ともある種の類似が見られる。そこで本研究では内在性Zscan4のin vivoの分子機能の解明を行った。Zscan4遺伝子は複数のパラログ遺伝子から構成されるため、内在性Zscan4遺伝子クラスターのZscan4c遺伝子座にGFPをノックインしたES細胞およびマウスを作製して解析を行った。その結果、ES細胞内の内在性Zscan4cの発現パターンは全Zscan4陽性ES細胞のうち約1/3であることが判明し、特定のZscan4遺伝子座のみがstochasticに活性化されていることが示唆された。さらに内在性Zscan4を検出する抗体を用いた免疫染色によるin vivoにおける発現の検討の結果、着床前初期胚の2-cell stageのみならず、GV oocyteおよびパキテン期の精母細胞でZscan4の発現が見られることが判明した。興味深いことに、GV oocyte のうちNSNと呼ばれる集団ではZscan4は核内に均一に観察されるのに対して、RNA pol II による転写が不活性化されているSNと呼ばれる集団ではdot状の核内配置を示すことが明らかとなった。これらの結果はZscan4が着床前初期胚のみならず生殖細胞においても何らかの機能を持つことを示唆している。
すべて 2017 2016 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (1件) 備考 (2件)
In Vitro Cell.Dev.Biol.-Anim.
巻: 53 ページ: 179-190
10.1007/s11626-016-0097-y
巻: 53 ページ: 167-178
10.1007/s11626-016-0096-z
http://www.imeg.kumamoto-u.ac.jp/bunya_top/chromosome-biology/seika/
http://systemsmedicine.jp/about/