本研究は,鞭毛レギュロンのグローバル制御の全体像を解明することを目的として行われた。大腸菌のほぼ全遺伝子を対象にし,高発現したときに鞭毛の合成や機能に顕著な影響を与える非鞭毛遺伝子を網羅的に検索した。その結果,鞭毛遺伝子発現に影響を及ぼす遺伝子がゲノムの約10%にものぼることが判明した。その大部分はクラス1鞭毛オペロンの転写制御を介して作用しており,新規に同定された6遺伝子はクラス2鞭毛オペロンに特異的に作用してその発現を阻害することが示された。一方,鞭毛遺伝子の発現には影響を与えずに鞭毛機能を阻害する遺伝子も多数存在することが明らかになった。
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