研究課題
本研究において高速液体クロマトグラフ質量分析計を用いたイノシトールリン脂質の絶対定量法の確立が大きなテーマになっている。これまでの放射性同位体を用いた方法では相対定量は出来るものの、絶対定量が出来ない。また、微量変動を解析するには検出感度が足らない。そこで微量でも検出でき、かつ絶対定量を期待出来る高速液体クロマトグラフ質量分析計を用いた方法の確立を目指した。これまでの研究期間にリン酸化位置異性体の区別までは出来ないがPIP1、PIP2、PIP3のそれぞれを定量する方法を作ることが出来ていた。今年度はこの方法をさらに発展させ、リン酸化位置異性体をそれぞれ測定することに成功した。これまで測定することができなかったマウス臓器、およびヒト検体においてもイノシトールリン脂質すべての定量が可能となり、特許を出願するに至った。本研究に関連するPI3PおよびPI(3,5)P2の定量が可能となり、この方法でMTMRsのWTおよびphosphatase dead 変異体を過剰発現させた細胞株やノックアウトマウスの比較によりそれぞれの脱リン酸化酵素の生理的な基質を同定しているところである。個体の解析については肺がんの自然発症を認めるマウスの解析を進めているところである。肺がんを呈するまでの期間が1年半と期間が長いため、解析するまで非常に長い飼育時間を要していた。そこで、他の発がんマウスと掛け合わせることで発症期間が早まるかどうかを解析している。これまでのところ、生存期間の減少が認められている。機序の解析をこれまでより短い期間で行うことが出来るようになりつつあり、詳細な分子メカニズムを明らかにすることで疾患への寄与を明らかにしていきたい。
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genes to cells
巻: 22 ページ: 220-236
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JCI insight
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