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2015 年度 実施状況報告書

エネルギー代謝経路をターゲットとしたアフリカ睡眠病の薬剤開発

研究課題

研究課題/領域番号 26440027
研究機関京都工芸繊維大学

研究代表者

志波 智生  京都工芸繊維大学, その他部局等, 准教授 (80401206)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワードトリパノソーマ / diironタンパク質 / 膜表在型タンパク質 / アスコフラノン / X線結晶構造解析
研究実績の概要

本研究はトリパノソーマのエネルギー代謝経路をターゲットとしたアフリカ睡眠病の薬剤開発を目的としており、その標的タンパク質であるシアン耐性酸化酵素(TAO)及びグリセロールキナーゼ(GK)の薬剤候補となる阻害剤との複合体の構造を明らかにすることで、薬剤開発のための知見を得ることを目的としている。以下に本年度の成果を示す。
・TAOとGKの両酵素を阻害するinh-7とTAOとの複合体の結晶構造を3.5Å分解能で明らかにすることができた。
・inh-7より強力に両酵素を阻害するGK-butylを見出し、その化合物とGK及びTAOとの複合体の結晶構造をそれぞれ2.5, 3.2Å分解能で明らかにすることができた。
・このGK-butylはinh-7やすでにTAOの阻害剤として知られているアスコフラノンよりも合成が容易であるので、抗トリパノソーマ薬として有望である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

計画としては、inh-7とTAO及びGKとの複合体構造を明らかにしようと計画していたが、GKとの複合体を2.9、TAOとの複合体を3.5Å分解能で明らかにすることに成功した。
さらに、inh-7よりも両酵素を強く阻害する化合物(GK-butyl)を見出すことができた。この化合物は、inh-7やTAOの阻害剤であるアスコフラノンより単純な構造をしており、安価に合成できると考えられる。さらに、このGK-butylとTAO及びGKとの複合体の結晶構造をそれぞれ3.2, 2.5Å分解能で明らかにすることができた。

今後の研究の推進方策

inh-7やGK-butylは立体構造や触媒する反応が異なる2つの酵素(TAOとGK)を阻害するため、両方の構造をより高分解能で明らかにして、なぜこれらの化合物がTAOとGKの”bi-functional inhibitor”として機能しているのかを明らかにしたい。
原虫に対する効果や毒性のcheckなどを行い、薬剤開発に必要なデータを収集する。
より効果的に両酵素を阻害するような化合物を見出す。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2015

すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] 1.Structural Insights into the Molecular Design of Flutolanil Derivatives Targeted for Fumarate Respiration of Parasite Mitochondria2015

    • 著者名/発表者名
      Inaoka DK, Shiba T, Sato D, Balogun EO, Sasaki T, Nagahama M, Oda M, Matsuoka S, Ohmori J, Honma T, Inoue M, Kita K, Harada S
    • 雑誌名

      Int. J. Mol. Sci.

      巻: 16 ページ: 15287-15308

    • DOI

      10.3390/ijms160715287

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著 / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] 2.Pharmacophore Modeling for Anti-Chagas Drug Design Using the Fragment Molecular Orbital Method2015

    • 著者名/発表者名
      Yoshino R, Yasuo N, Inaoka DK, Hagiwara Y, Ohno K, Orita M, Inoue M, Shiba T, Harada S, Honma T, Balogun EO, da Rocha JR, Montanari CA, Kita K, Sekijima M
    • 雑誌名

      PLoS One

      巻: 10 ページ: e0125829

    • DOI

      10.1371/journal.pone.0125829

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] トリパノソーマシアン耐性酸化酵素(TAO)とグリセロールキナーゼ(GK)の結晶構造2015

    • 著者名/発表者名
      志波智生、エマニュエルバログン、稲岡ダニエル健、原田繁春、北潔
    • 学会等名
      第41回生体エネルギー研究会討論会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2015-12-21 – 2015-12-23
  • [学会発表] The crystal structures of trypanosomal cyanide-insensitive alternative oxidase (TAO) and glycerol kinase (GK)2015

    • 著者名/発表者名
      Tomoo Shiba, Emmanuel Oluwadare Balogun, Daniel Ken Inaoka, Shigeharu Harada, Kiyoshi Kita
    • 学会等名
      3rd International Picobiology Institute Symposium
    • 発表場所
      兵庫県立大学
    • 年月日
      2015-12-08 – 2015-12-09
    • 国際学会
  • [学会発表] アフリカトリパノソーマのシアン耐性酸化酵素(TAO)と異なる骨格を持つ阻害剤、アスコフラノン及びフェルレノールとの複合体構造2015

    • 著者名/発表者名
      上田 慧、中井万智、志波 智生、高橋 元、 稲岡 ダニエル健、城戸 康年、坂元 君年、 柘植 千明、Emmanuel Oluwadare Balogun、奈良武司、青木孝、本間 光貴、田仲 昭子、井上将行、松岡茂、Moore L. Anthony、斎本 博之、 北 潔、原田 繁春
    • 学会等名
      第88回日本生化学会大会
    • 発表場所
      神戸
    • 年月日
      2015-12-01 – 2015-12-04

URL: 

公開日: 2017-01-06  

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