研究課題
臓器や組織形成において、正しい細胞の空間的な配置は非常に重要である。最近、細胞の空間配置の制御はアドヘレンスジャンクション接着分子ネクチンにより担われていることが蛍光顕微鏡、RNAiを用いた実験により明らかにされつつある(Togashi らScience 2011)。しかし、実際に2種類の細胞の膜上に存在するネクチンが引き起こす空間的アレンジメントを原子構造レベルで理解する研究はいまだなされていない。そこで本研究では、内耳コルチ器において有毛細胞とその支持細胞が形成するチェックボードパターン形成に関与するネクチン1とネクチン3を代表とするヘテロフィリックトランス複合体の結晶構造解析を行い、細胞接着のメカニズムを原子レベルで明らかにすることを目的とする。当初目的とした、ネクチン1とネクチン3のコンストラクトの作成および大量培養、精製法を確立した。今年度はネクチン1とネクチン3ヘテロフィリックトランス複合体の結晶化スクリーニングを行い、得られた結晶を用いて放射光施設のX線回折実験を行い、分子置換法により位相決定を行い、2.8オングストローム分解能で構造解析に成功した。得られた構造は新規構造であるマウスネクチン1のD1ドメインのホモダイマーであった。この結果を日本結晶学会年会においてポスター発表を行った。
2: おおむね順調に進展している
精製条件の確立および、ヘテロ複合体の状態でゲル濾過精製を行い、得られたサンプルを濃縮後、大規模結晶化スクリーニングに用いる。当初目的とした、ネクチン1とネクチン3のコンストラクトの作成および大量培養、精製法を確立した。ネクチン1の結晶構造を学会発表行った。ネクチン1,3コンプレックスの結晶化を行った。結晶を溶解させて行った電気泳動からコンプレックスと示唆される。
27年度に得られた結晶を用いて回折実験を行い、構造解析を目指す。
購入予定であった消耗品を他のグループから譲り受けることができたため。
培養、精製、結晶化の消耗物品購入を行う。
すべて 2016 2015 その他
すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 査読あり 5件) 学会発表 (5件) 備考 (1件)
PNAS
巻: 113 ページ: online
www.pnas.org/cgi/doi/10.1073/pnas.1517770113
J. Biochem
巻: 未定 ページ: 未定
doi: 10.1093/jb/mvv133
Acta Crystallogr D Biol Crystallogr.
巻: 71 ページ: 251-9-25
http://dx.doi.org/10.1107/S139900471501857X
Scientific Reports
巻: 5 ページ: 14017
Scientific Reports | 5:14017 | DOI: 10.1038/srep14017
J. Synchrotron Rad.
巻: 22 ページ: 532-537
http://dx.doi.org/10.1107/S1600577515004464
http://www.protein.osaka-u.ac.jp/rcsfp/supracryst/suzuki/index.html