研究実績の概要 |
細胞間で物質輸送を担うギャップ結合チャネルは、4回膜貫通タンパク質コネキシンが6量体を形成したコネキソンが2つの隣接細胞の細胞質同士を繋ぎ12量体となっているために通常の細胞にあるチャネルに比べて2倍の長さを有する。それにもかかわらず、イオン輸送能の指標である単一チャネルコンダクタンスは高い値を示すが、この要因は不明である。1つの仮説として、4量体からなる通常細胞のチャネルに対し、6量体のギャップ結合ではチャネル孔がそれらより大きいためであるとの提案もあるが、一方で否定する実験も報告されている。そこで、本年度はギャップ結合のチャネル孔中央に位置し第1膜貫通へリックスと細胞外第1ループの境界領域にある46位のアミノ酸残基に着目した。水晶体線維に発現するコネキシン50(Cx50)の46位のグリシンをアスパラギン酸とグルタミン酸に置換すると単一チャネルコンダクタンスは野生型に比べて1.3~1.5倍に上昇したが、リジンに置換すると1/10に低下した。G46を長い側鎖と電荷もつアミノ酸に置換した(G46D, G46E, G46K)これらの実験結果から以下の事が明らかとなった。 1.変異によりギャップ結合のチャネル半径は小さくなっているがイオン透過を抑制しない。 2.陽イオンを輸送する傾向のあるCx50では、負電荷の集積がイオン透過性を高めたが、正電荷の集積は逆の結果となった。 3.野生型Cx50のイオン透過能は最適化されておらず、Cx変異による種々の疾患の治療に役立つ可能性がある。
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