研究課題/領域番号 |
26440029
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
青山 浩 大阪大学, 薬学研究科(研究院), 准教授 (60291910)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 膜タンパク質 / 国際情報交換 |
研究実績の概要 |
ギャップ結合チャネルは、4回膜貫通タンパク質コネキシンが6量体を形成したコネキソンが2つの隣接細胞の細胞質同士を繋ぎ12量体となって細胞間で物質輸送を担う。このとき、接合部電圧(Vj)でチャネル孔が開閉しチャネルコンダクタンス(γj)が生じるがその詳細な機構は不明である。チャネル孔の内部にあるE1ドメインはアミノ酸配列の保存性が高く各コネキシンで同様の結合機構が予測されるが、チャネル孔外部のE2ドメインの多様なアミノ酸配列がコネキソン形成の鍵を握ると考えられている。水晶体線維に発現するコネキシン50 (Cx50)のγjは高い値(~200pS)を示すが、神経細胞のコネキシン36 (Cx36)が低い値を示す。そこで、E1ドメインにγjを制御する要因があると考え、Cx50Cx36E1キメラタンパク質を作製したところ、Vjに変化は認められないが、γj が201pSから168pSに減少することが明らかとなった。さらにE1ドメインのアミノ酸配列を詳細に比較し電荷の変化を生じる変異体では、G46D(γj=256 pS), E62N(γj=228pS), E68R(γj=231pS) となり野生型Cx50に比べて上昇していた。そこで、既に結晶構造が報告されているCx26をモデルにCx36 (相同性67%)とCx50(相同性79%)のホモロジーモデルを作製した。Cx50のG46とE62はともにチャネル孔の内側に位置するのに対し、E68はチャネル孔の外側に位置していた。さらに、G46はチャネル孔の最も狭い領域に位置するが、E62は比較的広い位置にあったが、変異によるチャネル孔の直径の変化ではなく静電的相互作用の変化がE1ドメインのチャネル能に重要であることが明らかとなった。これらの実験に加えて、Cx40とCx43の電気生理実験とホモロジーモデリングの融合による構造活性相関研究に着手した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Cx50の構造活性相関の解明に加えてCx40とCx43へと発展できているため
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今後の研究の推進方策 |
電気生理実験によるチャネルコンダクタンスの測定とホモロジーモデリングの融合は順調に進んでるが、今後は構造生物学のデータも加えていくように推進していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
電気生理実験とホモロジーモデリングの融合が思いのほか順調に進行したので、成果発表を優先したため。
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次年度使用額の使用計画 |
構造生物学実験を推進するための試薬、消耗品類の購入に利用する。
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