研究課題
本研究では、X線結晶構造解析により、膜小胞形成に関与し溶血性貧血(遺伝性有口赤血球症stomatocytosis)の原因タンパク質である多量体膜タンパク質ストマチンの全体構造解明とストマチンの機能制御パートナータンパク質STOPPによるストマチン制御機構の解明を目的とする。ストマチンの分子レベルでの構造と機能を明らかにすることで、未だ有効な治療薬のないstomatocytosisの治療薬を新規に開発するための構造基盤が得られる。平成26年度に、STOPPプロテアーゼドメインとストマチン配列を含むペプチドとの複合体の構造解析を行い、STOPPプロテアーゼドメインが、基質ストマチンを切断する際、その二量体構造を大きく変化させることを見出した。決定した構造ではペプチドが見られなかったことから、今年度も、引き続きSTOPPプロテアーゼドメインとストマチン配列を含むペプチドとの複合体の結晶化に取り組んだが現在のところ新しい構造解析には成功していない。ストマチンにはプロテアーゼの基質タンパク質と阻害タンパク質に相当する2種類のホモログがある。今年度は阻害タンパク質のストマチンとプロテアーゼドメインとの複合体構造解析に主に取り組んだ。これまでに得られている結晶と外形の異なる楕円型の結晶が得られている。しかし構造解析に適した分解能が得られていないため、引き続き結晶化条件の探索を今後行う。
3: やや遅れている
今年度はタンパク質調製、結晶化とX線回折実験に取り組んだものの、新規な構造解析に成功していないため。
ストマチンの機能制御パートナータンパク質STOPPのプロテアーゼドメインと阻害タンパク質のストマチンまたは阻害タンパク質のストマチンとの複合体の結晶化と構造解析を進める。これまでその構造が報告されていないストマチンの全体構造解明について、平成28年度もタンパク質の調製と結晶化に取り組む。
計3年間の使用予定額のうち初年である平成26年度に全体の6割程度の支出を見込んでいたが物品購入費を予定より大幅に少なく済ませた。そのためその余剰分が平成27年度末時点で同程度発生している。
次年の平成28年度は最終年度であり研究の総まとめを行う。主に物品購入費に当てる予定である。
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