研究課題
本研究では、X線結晶構造解析により、膜小胞形成に関与し溶血性貧血(遺伝性有口赤血球症stomatocytosis)の原因タンパク質である多量体膜タンパク質ストマチンの全体構造解明とストマチンの機能制御パートナータンパク質STOPPによるストマチン制御機構の解明を目的とした。ストマチンの分子レベルでの構造と機能を明らかにすることで、未だ有効な治療薬のないstomatocytosisの治療薬を新規に開発するための構造基盤が得られる。最終年度である平成28年度には、ストマチンの全体構造解明に向けた構造解析に取り組んだ。これまでに膜貫通部位を含むストマチン全長タンパク質の調製と結晶化を行ったが構造解析できる回折強度データが得られなかった。そこで、ストマチンの多量体形成に関わるアミノ酸残基のアラニン変異体の発現、精製、結晶化を行った。六角板状の結晶が得られたが、X線解析に適する分解能の回折強度はこれまでに得られていない。研究期間全体を通じて、これまで報告しているものと異なる配列のストマチンペプチドとSTOPPプロテアーゼドメインとの複合体構造を決定し、STOPPプロテアーゼドメイン二量体がプロテアーゼ反応の際に二量体構造を大きく変化させることを見出した。またSTOPPのOB(Oligonucleotide Binding)ドメインの構造を決定し、このOBドメインが二量体を基本にした12-24量体を形成できることから、STOPP-ストマチン複合体における足場として機能しうることを見出した。
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J. Biochem.
巻: 161 ページ: 37-43
10.1093/jb/mvw050
http://www.rs.tus.ac.jp/yokoyama/index.html