蛋白質キナーゼには多数のリン酸化部位があり、リン酸化状態の相違により異なった機能を示す。本研究では、MAPキナーゼであるMEK1の機能発現について立体構造を通して解明することを目指し、非リン酸化体、活性変異体、活性抑制変異体の構造を新たに決定した。回折X線測定は大型放射光施設SPring-8にて行った。その結果、活性発現に重要なDFG-motifの構造に2価陽イオンが関与していること、活性化ループ構造のゆらぎの増加が活性化に必要であること、S212のリン酸化が活性発現を抑制する要因はATPとの結合阻害であることなどの知見を得た。これらの知見は新たな分子標的抗ガン剤の創製に有用である。
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