研究実績の概要 |
小胞体で合成された分泌タンパク質は、小胞体上のドメインであるER exit siteからCOPII被覆小胞に積み込まれて小胞体から出芽し分泌される。しかし、コラーゲンをはじめとした分子は小胞体内でCOPII被覆小胞よりも巨大な複合体を形成するため、通常の小胞には入りきらない。よってコラーゲンの分泌には、特殊な機構が必要である。 研究代表者は、これまで、コラーゲンの積荷受容体としてcTAGE5/TANGO1L/Sec12複合体,cTAGE5/TANGO1S/Sec12複合体を見出し、両者が低分子量Gタンパク質Sar1を活性化することで、協調してコラーゲンの分泌を担うことを明らかにしてきた。 本年度は、TANGO1LおよびTANGO1Sのそれぞれに、ER exit site形成の初期にはたらく因子であるSec16が直接的に結合することを明らかにした。さらに、この結合が両者のER exit siteへの正しい局在化に必須であることを見出した。またTANGO1L,TANGO1S両者を発現抑制した際にはコラーゲンのみならず一般的な分泌も遅延することを見出した。この結果はTANGO1がSec16と協調して足場タンパク質としてはたらくことで、コラーゲン分泌のみならずER exit siteの形成にも関与することを提示している。この結果は、ER exit siteの進化的保存性について興味ふかい考察を与えた。 さらに研究代表者は、国際的な共同研究により、cTAGE5/TANGO1/Sec12複合体がオートファゴソームの形成にも関与することを見出した。
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