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2014 年度 実施状況報告書

蛋白質工学的手法による酸化ストレス下で働く新規グロビン蛋白質の機能制御機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 26440047
研究機関東京大学

研究代表者

若杉 桂輔  東京大学, 総合文化研究科, 准教授 (20322167)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード蛋白質 / ストレス / シグナル伝達 / 生理活性
研究実績の概要

ヒトのアンドログロビン(Adgb)は2012年に発見された精巣特異的に発現しているグロビン蛋白質であり、グロビンドメインとカルパイン類似ドメインとからなる融合蛋白質である。驚いたことに、グロビンドメインがcircular permutated型であり、しかもその間にカルモジュリン結合モチーフが挿入されている。Adgbの研究はこれまで遺伝子レベルでの研究が少しなされているだけで、蛋白質レベルでの研究はこれまで全く行われていない。そこで、本研究では、Adgb蛋白質の構造と機能を解析することを目指す。Adgb は巨大な蛋白質であることから、ドメインごとに分割したAdgb切断片を大腸菌を用いて発現させ、精製方法を確立した。さらに、精製したAdgb断片を抗原にしてポリクローナル抗体を作製した。今後、このAdgbに対するポリクローナル抗体を用いて、Adgbの蛋白質発現解析を推し進めていく予定である。また、各種Adgb 切断片をHeLa 細胞で発現させることも試みた。さらに、本研究では、ヒトのニューログロビン(Ngb)が持つ酸化ストレスに伴う神経細胞死を抑制する働きの作用機序を明らかにすることも目指す。NgbをbaitとするYeast two hybrid screeningによりNgbと結合する相手であることを我々が明らかにしたcystatin C及びflotillin-1の機能を解析するとともに、これら蛋白質とNgbとの蛋白質間相互作用に着目した解析を行い、結合部位のアミノ酸残基の候補を明らかにした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究では、ヒトAdgb 蛋白質の大腸菌での発現系の構築、及び、蛋白質の精製手法の確立を目指した。Adgb は巨大な蛋白質であることから、ドメインごとに分割した各種のAdgb切断片を大腸菌発現系と培養細胞発現系において発現させて解析を進めた。大腸菌発現系では、様々な条件で発現を試み、Adgb切断片の発現の条件を決定し、その精製に成功した。さらに、精製したAdgb断片を抗原にしてポリクローナル抗体を作製した。今後、このAdgbに対するポリクローナル抗体を用いて、Adgbの蛋白質発現解析を推し進めていく予定である。培養細胞発現系では、各種Adgb 切断片をHeLa 細胞で発現させた。さらに、本研究では、ヒトのニューログロビン(Ngb)が持つ酸化ストレスに伴う神経細胞死を抑制する働きの作用機序を明らかにするために、Ngbが結合する相手であるcystatin C及びflotillin-1の機能解析、及び、これら蛋白質とNgbとの蛋白質間相互作用に着目した解析も行い、相互作用部位の候補を絞ることができた。

今後の研究の推進方策

1. ヒトAdgbと結合する蛋白質の探索
ヒトAdgbをbaitとして提示しヒト精巣cDNAライブラリーをpreyとして用いるyeast two hybrid screeningよって、ヒトAdgbと結合する分子の特定を目指す。結合する分子を特定した後、大腸菌による蛋白質の大量発現系・蛋白質精製手法を確立し、構造・機能解析を推し進める。
2. ヒトNgbの神経突起伸長の分子制御機構の解明
最近、ヒトNgbに神経突起を伸長させる働きがあることが明らかになった。そこで、我々が見い出した「ヒトNgbが三量体G蛋白質のαサブユニットGαi/oに結合し、GDP解離阻害因子(GDI)として働く」というNgbの特性に着目し、ヒトNgbを持つGDI活性の神経突起伸長における重要性について検証する。具体的には、GDI活性を失くしたNgb変異体を用いて、神経突起を伸長させる働きがあるかどうか解析する。

次年度使用額が生じた理由

試薬の注文が遅くなったため。

次年度使用額の使用計画

消耗品(試薬)の購入に使用する。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2015 2014 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (5件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Cystatin C protects neuronal cells against mutant copper-zinc superoxide dismutase-mediated toxicity.2014

    • 著者名/発表者名
      Watanabe, S., Hayakawa, T., Wakasugi, K., and Yamanaka, K.
    • 雑誌名

      Cell Death & Disease (Nature Publishing Group)

      巻: 5 ページ: e1497

    • DOI

      10.1038/cddis.2014.459

    • 査読あり
  • [学会発表] 生物進化に伴うニューログロビン蛋白質の機能変化2015

    • 著者名/発表者名
      若杉 桂輔、高橋 望、小野塚 渉、森田 真人、早川 友世、上岡 勇輝、内田 裕之、渡邊 征爾
    • 学会等名
      第40回 生命の起源および進化学会 学術講演会
    • 発表場所
      東京理科大学葛飾キャンパス(東京都葛飾区)
    • 年月日
      2015-03-16 – 2015-03-17
  • [学会発表] Coordinated activation of autophagy and proteolysis inhibition is essential for neuroprotection by cystatin C against mutant SOD-1-mediated toxicity.2014

    • 著者名/発表者名
      Watanabe, S., Wakasugi, K., and Yamanaka, K.
    • 学会等名
      25th International symposium on ALS/MND
    • 発表場所
      Brussels, Belgium
    • 年月日
      2014-12-05 – 2014-12-07
  • [学会発表] 神経細胞保護作用を持つニューログロビンのヘテロ三量体G蛋白質αサブユニットとの相互作用解析2014

    • 著者名/発表者名
      高橋望、若杉桂輔
    • 学会等名
      第87回 日本生化学会大会
    • 発表場所
      国立京都国際会館(京都府京都市)
    • 年月日
      2014-10-15 – 2014-10-18
  • [学会発表] 変異SOD1由来の毒性に対するシスタチンCの神経細胞保護機構の解明2014

    • 著者名/発表者名
      渡邊征爾、若杉桂輔、山中宏二
    • 学会等名
      第37回 日本神経科学大会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜(神奈川県横浜市)
    • 年月日
      2014-09-13
  • [学会発表] ヒトのニューログロビンが持つ酸化ストレスに対する神経細胞保護作用の分子制御機構の解明2014

    • 著者名/発表者名
      高橋望、渡邊征爾、若杉桂輔
    • 学会等名
      第14回 日本蛋白質科学会年会
    • 発表場所
      ワークピア横浜 / 横浜産貿易ホール マリネリア(神奈川県横浜市)
    • 年月日
      2014-06-25 – 2014-06-27
  • [備考] 東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻生命環境科学系 若杉桂輔研究室

    • URL

      http://park.itc.u-tokyo.ac.jp/wakasugilab/

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公開日: 2016-05-27  

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