研究課題/領域番号 |
26440056
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
徳光 浩 岡山大学, 自然科学研究科, 教授 (20237077)
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研究分担者 |
曲 正樹 岡山大学, 自然科学研究科, 助教 (50359882)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | CaMKK / AMPK / STO-609 / CaMK Cascade / Protein Kinase / Signal Transduction |
研究実績の概要 |
本研究の対象とするCa2+/Calmodulin-dependent protein kinase kinase beta (CaMKKβ)の標的リン酸化酵素であるAMPK活性化リン酸化酵素AMPKについて、その活性化状態を細胞レベルで可視化する技術が開発され、AMPKは細胞内の様々なオルガネラにおいて異なる活性化状態をとることが明らかとなった。特に本研究では、細胞内でAMPK活性を阻害するペプチド阻害剤AIPについて阻害効果の詳細なメカニズムを検討した。その結果、AIPのAMPK活性阻害は基質分子との拮抗阻害であることが明らかとなった。本阻害ペプチドは細胞内に発現させることにより、特異的に細胞内AMPK活性を抑制できることも明らかとなっている。 これまで、CaMKKの阻害化合物としてSTO-609を開発し、世界中でCaMKKシグナル伝達機構の解析に使用されている。一方問題点として、多くの酵素阻害剤がそうであるように特異性の確保がある。そこで、STO-609の細胞内における特異的阻害効果を検証するために、CaMKKアイソフォームのSTO-609抵抗性変異体を作成した。ついでこの変異体を安定的に発現させた培養細胞株(A549細胞)を樹立することに成功した。そこで、このSTO-609抵抗性CaMKKαおよびβ発現株をイオノマイシン処理することによりAMPKのリン酸化の上昇を確認した。このイオノマイシン依存性のAMPKリン酸化はSTO-609処理により抑制されるが、STO-609抵抗性CaMKKβ発現株では抑制されず、STO-609抵抗性CaMKKα発現株は抑制されなかった。この結果から、STO-609抵抗性CaMKKαおよびβ発現株を用いることで、STO-609の効果がCaMKKを介したものであることを確認するだけでなく、アイソフォーム特異性も明らかにできる方法となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究成果の一部はJohns Hopkins大学との共同研究としてCell Reports 2015年に印刷中であり、Johns Hopkins大学Web siteにおいてPress Releaseされている。また、STO-609抵抗性CaMKKαおよびβ発現株を用いた研究結果についても現在論文投稿中であるため。
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今後の研究の推進方策 |
AMPKの活性化状態の可視化技術と、AMPK活性化酵素であるCaMKKβの阻害剤を用いた研究手法を同時にもちいることで、CaMKK/AMPKカスケード反応のさらなる詳細な反応機構を明らかにする。さらにはCaMKKアイソフォームにおいて作成した阻害剤STO-609抵抗性変異体を用いることで、細胞内におけるCaMキナーゼカスケード反応の詳細な活性化機構を明らかにする。
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