Ras遺伝子の突然変異は多くのがん発症の原因となることが知られている。本研究で私達は新規Rasファミリーの一つであるkappaB-Rasが、細胞内の蛋白質リン酸化酵素mTORC1の活性化を介して発がんシグナルに寄与することを明らかにした。さらに、kappaB-Rasの蛋白質複合体を精製し、その結合蛋白質TRB3が、発がんシグナルを抑制する新しい発がんシグナル抑制機構を見出した。その分子機構の詳細は明らかでないが、TRB3は、kappaB-Ras蛋白質にSUMOと呼ばれる蛋白質を架橋させる(SUMO化)ことにより、発がんシグナルを抑制することが明らかにされた。
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