研究課題/領域番号 |
26440067
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
十島 純子 早稲田大学, 理工学術院, 講師 (00431552)
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研究分担者 |
十島 二朗 東京理科大学, 基礎工学部, 准教授 (00333831)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | エンドサイトーシス / 細胞内輸送 / 蛍光イメージング |
研究実績の概要 |
本研究で私は、スクリーニングにより同定したエンドサイトーシス経路に異常を示す196種類の遺伝子欠損変異体について、表現型に基づいたクラス分けを行い、解析を行っている。H26年度は計画に沿って以下の研究を実施した。 (1) 細胞膜上におけるクラスリン小胞の形成機構 クラスAの表現型を示す変異体として同定した24種類の遺伝子欠損変異体について、放射標識したα-factorの細胞内への取込み効率および、脂質蛍光マーカーであるFM4-64の輸送解析を行った。この結果、約10種類の遺伝子欠損変異体について、細胞内への取込み効率の異常、またはFM4-64の輸送異常が認められた。この解析により、低分子量Gタンパク質Rhoファミリーの一つであるRho4が同定された。Rho4については更に、GTP型およびGDP型の変異体を作成し表現型の解析を行っている。また、その他のRhoタンパク質ファミリーについても同様の解析を行い、Rhoファミリー内の機能解析も進めて行く予定である。 (3) 初期エンドソームの融合および後期エンドソームへの成熟機構の解明 クラスB変異体として同定した低分子量Gタンパク質Rabについて解析を行った。Rab5の酵母ホモログであるVps21pはエンドサイトーシス経路だけではなく、ゴルジ体で生合成された物質をリソソームへ輸送するVPS経路の両方に関わっていることが知られていたが、輸送のどの段階で働いているかについては明らかになっていなかった。私は、Vps21がVPS経路とエンドサイトーシス経路の合流には必要ではなく、その後の輸送経路で働いていることを明らかにした。また、酵母Rab5のすべての遺伝子を欠損させても、エンドサイトーシス経路は完全には遮断されないことから、エンドサイトーシスによる積み荷のリソソームへの輸送は従来のRab5依存的なエンドサイトーシス経路とは別に、Rab5非依存的なAP3経路を介するものがあることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
酵母細胞を用いた蛍光エンドサイトーシスマーカーによるスクリーニングにより、エンドサイトーシス経路に異常を示す遺伝子欠損変異体の同定に成功した。得られた変異体の表現型に基づく分類を行い、クラスごとの解析を行っている。これらの解析は、研究計画に沿っておおむね順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
今後も研究計画に沿って、スクリーニングにより同定したエンドサイトーシス経路に異常を示す遺伝子欠損変異体の解析を行う。現在は変異体の表現型に基づいたクラス分類を行い、それらの分類ごとに網羅的な解析を行っている。このような解析の結果、いくつかの遺伝子欠損変異体において、他の変異体とは異なる特徴的な表現型が認められた。これらの遺伝子については個別に詳細な解析を進めて行く予定である。また同じクラス分類内で、多重欠損体を作成するなど、遺伝子間の相互作用や機能的な相補性なども解析して行く予定である。これらの解析を通じて、エンドサイトーシス経路で働く新しいタンパク質ネットワークの同定を目指す。
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