研究実績の概要 |
mVam2やRab7をノックアウトしたマウスは胎生致死である。イントロン内にloxPを導入したホモ接合体は野生型と同様明らかな表現型を示さない。今年度、Cre recombinaseを発現するadenovirus (AdxCre)を用い、mVam2やRab7を欠損させたMEF細胞を樹立し、mVam2欠損MEF細胞では、リソソームのマーカー・タンパク質であるLamp2に対する抗体を用いて蛍光染色を行ったところ、mVam2欠損MEF細胞では、リソソームがLamp2のシグナルが野生型に比べて著しく低下し、リソソームの形態形成が異常であることを明らかにした。Rab7欠損MEF細胞も同様な手法を用いて樹立し、Rab7欠損MEF細胞では、Lamp2のシグナルが野生型に比べて上昇することが明らかとなった。また、リソソーム形態形成に必要なHOPSタンパク質mVam5,8,9のタンパク質の量が変異細胞で蓄積していることが示された。さらに変異細胞では、、細胞内のLC3やp62などのオートファジーのマーカーが蓄積していることが明らかとなった。 これらの変異細胞を用いて、mTORC1の活性化がどのように変化するか、mTORの基質であるS6 kinase (T389), 4EBPのリン酸化状態を調べたところと、野生型に比べて、飢餓条件に対する応答が著しく低下したことが示された。今後、mTOR シグナルが増殖因子の経路由来か、それとも栄養供給を感知する経路由来かを明らかにしていく予定である。
|