細胞内栄養状態を関知し、細胞の増殖や代謝、生存における調節因子mTOR複合体の活性化にV-ATPaseが関与している。mTORのシグナル伝達経路は細胞分化・増殖に直接関わっており、ガンの発生や浸潤、組織の再生のキーファクターである。本研究は、まず、浸潤性がん細胞の株化細胞やがん患者組織を用い、V-ATPaseの各サブユニットのがん細胞での発現量、局在を明らかにした。さらに、骨転移能の高いがん細胞において、酸性微環境形成の関与するV-ATPaseのサブユニット・イソフォームの同定し、分泌性リソソームと骨転移や骨痛との関連を明らかにした。これらの研究成果は、癌治療薬探索の切り口になると考えている。
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