研究課題/領域番号 |
26440070
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
木村 洋子 静岡大学, 農学部, 教授 (80291152)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ユビキチン / 熱ストレス / エンドソーム / ホメオスタシス / 酵母 / V ドメイン |
研究実績の概要 |
ユビキチンはタンパク質の機能を制御する必須の修飾分子である。ユビキチンの発現は環境に応じて変動し適切な量に調節されており、ユビキチン量が調節されていること(ユビキチンホメオスタシス)は、生命活動の維持に重要であり、この調節メカニズムの研究を進めている。出芽酵母においてRfu1(Regulator for free chains)は、エンドソームに局在し脱ユビキチン化酵素Doa4を阻害することによって、細胞内の単量体ユビキチンレベルを制御している。ESCRT補助因子でBro1は、Doa4とRfu1の両方のエンドソームへの局在や活性を制御していることが他の研究室や我々の研究により明らかになり、さらにBro1がユビキチン結合タンパク質でもあることが報告されたため、Bro1の解析を進めた。Bro1とRfu1は、Bro1のVドメインとRfu1のYPEL モチーフを介して結合している。Bro1の哺乳類ホモログであるAlixのV ドメインでは、Phe残基を中心とする疎水性の溝がYP(X)nLモチーフとの結合箇所であることが報告されている。そこで、Bro1 VドメインのPhe残基に変異を導入したところ、Rfu1との結合が顕著に低下することがわかった。さらに、酵母におけるV ドメインとYP(X)nLモチーフとの相互作用の普遍性を確かめるためにアルカリストレス応答に関与するRim20とRim101の相互作用も検討した。Rim20はVドメイン、Rim101はYP(X)nLモチーフを有している。この2つの分子についても、V ドメインとYP(X)nLモチーフが直接の結合に必要であることを明らかにし、またアルカリストレス応答においても、この相互作用が重要であることを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Bro1とRfu1の相互作用を詳細に明らかにすることができた。さらに、酵母におけるV ドメインとYP(X)nLモチーフの相互作用の重要性をアルカリストレスに関わるRim20とRim101においても示すことができた。
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今後の研究の推進方策 |
Rfu1は熱ストレスによって分解されるが、これにはRsp5ユビキチンリガーゼが必要である。精製したRfu1とRsp5を混ぜてもRfu1のユビキチン化が起きないこと、多くのRsp5の基質のユビキチン化においてアダプタータンパク質が必要であることから、Rfu1の場合もアダプター分子が介在してユビキチン化が起きる可能性がある。そこで、アダプター分子の探索を行う。今まで報告されているRsp5のアダプター分子をコードする20種類弱の遺伝子の欠損変異株にRfu1-3xFlagを発現させ、熱ショックによる分解が阻害される変異株を選ぶ。同定できた場合は、その遺伝子をタグ付きタンパク質で発現するように改変し、免疫沈降により直接の結合が見られるかどうか検討する。また、当該遺伝子を大腸菌で発現させて、リコンビナントのタンパク質を得て、in vitroでRfu1のユビキチン化反応がおきるかどうか検討する。
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