研究課題/領域番号 |
26440071
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研究機関 | 公益財団法人東京都医学総合研究所 |
研究代表者 |
笠原 浩二 公益財団法人東京都医学総合研究所, 生体分子先端研究分野, 副室長 (60250213)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ラフト / 血小板 |
研究実績の概要 |
ケモカインSDF-1αは血小板α顆粒中に貯蔵され血小板の活性化に伴い放出されると、SDF-1α受容体CXCR4を発現している血管内皮や平滑筋などの前駆細胞が遊走され、血管修復が促されることが知られている。また血小板表面にもCXCR4が発現し、血小板活性化の促進にも働いている。私はSDF-1αによる血小板膜を介する細胞内シグナル伝達機構の解明を目的として、スフィンゴ脂質ミクロドメインである脂質ラフトの関与について解析を行った。その結果、昨年度までにSDF-1α/CXCR4による血小板凝集は脂質ラフトにおけるAkt活性化を介していることを見出した。 今年度は、SDF-1αによる血小板凝集がsrcファミリーキナーゼ阻害剤PP2で抑制されること。さらに血小板においてSDF-1α刺激でsrcが活性化することを見出した。この結果は、SDF-1αによる血小板凝集は脂質ラフトにおけるAkt活性化のみならす、srcファミリーキナーゼの活性化も関与している可能性を示している。srcファミリーキナーゼも血小板脂質ラフトに局在するシグナル伝達分子であるが、SDF-1α刺激によるsrc活性化のメカニズムは不明である。血小板をSDF-1αで刺激することによりsrcファミリーキナーゼがどのように活性化するのか?さらにその活性化シグナルが血小板凝集にどのように関与しているかを明らかにすることが今後の研究課題である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
血小板の脂質ラフトにおけるAktを介するシグナル伝達経路の全体像について解析を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
ケモカインSDF-1αは脂質ラフトに局在するシグナル伝達分子srcを活性化することを見出したので、脂質ラフトの関与について解析を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
SDF-1αが脂質ラフト局在シグナル伝達分子srcを活性化することを見出したので、脂質ラフトの関わりについてのさらなる解析が可能になったため。
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次年度使用額の使用計画 |
スフィンゴ糖脂質ミクロドメインである脂質ラフトの中で、どのスフィンゴ糖脂質が関与しているか、などの解析を進める。
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