研究課題
昨年度までに構築に成功した大腸菌及び酵母を宿主とした遺伝子組換え抗菌ペプチドの試料調製技術を活用し、哺乳類由来αデフェンシンの一種、マウス由来crp4を対象として、その変異体作製による機能解析及び、共同研究としてマウスへの投与による腸管免疫への作用の検討などを進め、学会発表などを行った。crp4については、その両親媒性構造に注目し、親水性面、疎水性面それぞれの残基を選択し、塩基性残基に置換した変異体を作製することで、その立体構造と活性への影響を検討した。結果として、すべての変異体で野生型と同等の立体構造を有する試料を調製することに成功し、いずれの面での置換も活性を高める効果があることを見出した。従来までの報告から、疎水性面への親水性残基の導入は活性を低下させると予想されたが、異なる結果を得たため、αデフェンシンの活性発現機構を解明するうえで重要な知見を得たといえる。また、植物由来抗菌得ペプチドを対象とした検討についても、酵母での発現系に関する検討結果を学会発表するとともに、新たに大腸菌を用いた高効率の発現法についても検討を行い、学会発表及び国際学術誌への論文投稿を行った。特に植物由来抗菌ペプチドについては、国際共同研究をすすめ、新たな知見を得ることに成功している。また、他の国際共同研究の成果として、カルモジュリンを融合パートナータンパク質として応用した系での抗菌ペプチドの高効率の生産に成功し、安定同位体標識抗菌ペプチドを高効率で生産する新たな技術の確立に成功した。この成果についても、国際学術誌に発表をおこなった。
すべて 2017 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (2件)
J Am Chem Soc
巻: 138 ページ: 11318-26
doi: 10.1021/jacs.6b0678