研究実績の概要 |
研究計画に基づき、本年度は平成26年度に行った研究(1)「光ジッパー(PZ)タンパク質の二量体化に必須な部域の絞り込みと、二量体化を促進あるいは抑制するアミノ酸の同定」、(2)「蛍光タンパク質との融合によるPZの機能評価」のまとめとして、下記二報の学術論文を公表した。 Yoichi Nakatani and Osamu Hisatomi, Biochemistry, 54, 3302-3313 (2015), Osamu Hisatomi and Keigo Furuya, Photochem. Photobiological. Sci. 14, 1998-2006 (2015) これらの研究の結果、PZ二量体の結合性を定量的に評価することが可能となった。DNAとの結合性に関しては、Electrophoretic mobility shift assay (EMSA)の系の改良により、低タンパク質濃度領域での定量的な測定が可能となった。また、Fluorescence correlation spectroscopy (FCS)の測定にも成功したことと合わせ、PZおよびその変異体の活性をin vitroで定量的に評価できるようになった。さらに、分子間相互作用解析装置(QCM)を用いて、PZとDNAとの相互作用を解析することにも成功し、現在、測定条件の最適化を行っている。 研究計画(4)の「酵素活性を光制御する系の作製」に関しては、BiFC法を用いて大腸菌中あるいはin vitroでのGFPとmCherryの形成を調べたが、測定した条件ではこれら蛍光タンパク質の形成が行われないことが明らかになった。引き続き、融合するタンパク質の精査と条件の検討を行う予定である。また、(5)cJunとPZの融合タンパク質を複数種作製したところ、そのうちの1種が光依存的に二量体化し、DNAへの結合性を増すことが示唆された。
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