研究課題
AUREO1のbZIP-LOVドメインは、還元的条件下で単量体として存在するが、青色光の照射により可逆的に二量体化して標的DNAへの結合性を増加させる。申請者は、このbZIP-LOVドメインを参考に光ジッパータンパク質(PZ)を作成し、平成26年度~28年度に以下のような研究を行った。(1)DNAと結合する塩基性領域、ロイシンジッパー(ZIP)領域、リンカー領域を段階的に削除した変異タンパク質を作成して、光依存的な二量体化を解析した。その結果、ZIP領域を削除した変異体では暗状態では二量体型が、明状態では単量体型が増加したことから、暗状態では分子内のZIP-LOV相互作用が、明状態では分子間のZIP-ZIPおよびLOV-LOV相互作用が働いていることが示唆された。PZの優れたスイッチング特性は、これらの相互作用に由来することが示唆された。実際に、ZIP領域のアミノ酸を置換した変異体を作成し、明状態でZIP-ZIP間に塩橋が形成されていることを示した。(2)PZにYFPあるいはmCherryを連結した融合タンパク質が、青色光を照射した際にPZと同じスペクトル変化を生じることを示した。また、それらの融合タンパク質が光依存的に二量体化し、DNAへの結合性を増大させることを明らかにした。また、YFP-mCherry間のFRETが観察されたことから、ヘテロ二量体が形成されることも示された。さらに、c-Junの塩基性領域を持つ融合タンパク質(cJun-PZ)を作成して、それが光依存的に二量体化することを明らかにした。(3)VP-16の転写活性化ドメインとPZを融合させた遺伝子を作成するとともに、ルシフェラーゼ遺伝子を発現するレポータープラスミドとともに動物の培養細胞に導入して、明・暗条件下でのルシフェラーゼ活性を解析した。
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J. Phys. Chem. B
巻: 120 ページ: 7360-7370
10.1021/acs.jpcb.6b05760
http://gabriel.ess.sci.osaka-u.ac.jp/html/hisatomi/hisatomi-jp.html