生体分子モーターは、基質となるヌクレオチドの加水分解エネルギーを利用して働いている。実際にATP駆動型の分子モーターについて言えば、活性部位でのATP、ADP・Pi、ADP、Piといったそれぞれの化学状態に応じた力を一連の化学サイクルに沿って順次発生することで一方向に動くと考えられている。そこで、力発生の設計図とでも言うべきポテンシャルエネルギーをヌクレオチドの化学状態ごとに直接1分子測定することを試みた。具体的には、回転分子モーターF1-ATPaseを用いて、結合するヌクレオチドを直接見ながら1分子回転操作し、ADP1個結合の回転トルクを測定し、その積分から回転ポテンシャルを決定した。
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