研究課題/領域番号 |
26440083
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研究機関 | 愛知学院大学 |
研究代表者 |
古野 忠秀 愛知学院大学, 薬学部, 教授 (80254308)
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研究分担者 |
鈴木 崇弘 愛知学院大学, 歯学部, 准教授 (70298545)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 膵島細胞 / 分泌顆粒 / 開口放出 / イメージング |
研究実績の概要 |
昨年、膵島α細胞の培養細胞株であるαTC6細胞とマウスから単離した上頸神経節初代培養細胞の共存培養系を用いて、神経突起と接着しているαTC6細胞の細胞内分泌顆粒の動態が顕著に抑制されていることを見いだした。そこで、本年度は接着分子が分泌顆粒動態に及ぼす影響を明らかにするため、αTC6細胞に発現している接着分子CADM1に着目し、スキャニングディスク顕微鏡を用いて詳細な検討を行った。その結果、CADM1の発現を抑制したαTC6細胞の細胞内分泌顆粒の移動速度は、野生型に比べて顕著に減少していることが分かった。また、αTC6細胞の分泌顆粒の速度は、微小管重合阻害剤であるノコダゾールの処理により有意に抑制されたが、アクチン重合阻害剤であるサイトカラシンDの処理では抑制されなかった。これらのことから、接着分子CADM1が微小管による分泌顆粒の輸送に促進的に作用していることが示唆された。 また、昨年、バイオルミネッセンスイメージング法により、αTC6細胞のグルカゴン放出のビデオレートでの可視化に成功した。それは、プログルカゴンとガウシアルシフェラーゼの融合蛋白質を用いた成果であった。しかし一方で、細胞内でグルカゴンと融合蛋白質の局在が必ずしも一致しないという問題点があった。本年度は、種々の融合蛋白質を作製して細胞に発現させ、グルカゴンとより共局在性の高い融合蛋白質のスクリーニングとそれによる発光イメージング解析を行った。それにより、これまでα細胞の活性化によく使われてきたアルギニン刺激によるグルカゴンの分泌は、開口放出によるものというよりもむしろ細胞外への漏出によるものであると示唆される結果が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請書に記載した1)神経と膵島細胞のin vitro共存培養系の確立、2)神経刺激に伴う膵島細胞へのシグナル伝播のダイナミクス解析とその分子機構の解明、3)神経刺激に伴う膵島細胞のホルモン分泌のダイナミクス解析とその分子機構の解明については、α細胞を中心に研究を進めている。研究遂行に当たって出現する様々な問題を解決しながら概ね順調に進んでいると考えている。しかし、β細胞を用いた実験はあまり進んでいない。また、今年度は、4)糖尿病モデルマウスを用いた神経-膵島細胞相互作用の追究へも進んでいけるように考慮して進める必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
まずは、現在推進中のα細胞の分泌顆粒動態と開口放出のイメージングをさらに発展させ、血糖濃度の調節に必要なグルカゴン放出の分子機構とそれを制御する接着分子および神経細胞の役割を明らかにすることに注力する。そして、α細胞とβ細胞の細胞間相互作用や動物レベルでの実験へと展開していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
他の研究費で購入した共通性の高い試薬・器具・用品などを無駄のないように効率的に使用し、コストの削減を図った結果である。
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次年度使用額の使用計画 |
必要な物品費に使用する。
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