研究課題
本研究では、神経と膵臓ランゲルハンス島(膵島)細胞のin vitro共存培養系を用いて、神経から膵島細胞への活性化シグナルの伝達と、それによって膵島細胞コロニーに連鎖的に伝播していくシグナルおよびホルモン分泌過程をリアルタイムで可視化解析し、そのダイナミクスを明らかにすることを第一の目的としてきた。まず、膵島α細胞内の分泌顆粒の動きが、神経と接着することにより抑制されることを見いだした。神経とα細胞の接着部位には、接着分子の一つであるCADM1が集積することが知られていることから、CADM1がα細胞の分泌顆粒動態に及ぼす影響を調べた。その結果、CADM1の発現抑制細胞では、細胞内での分泌顆粒の移動速度が減少することが分かった。このことから、CADM1を介した細胞間接着が、α細胞の分泌顆粒動態を正に制御していることが示唆された。次に、ルシフェラーゼとプログルカゴンの融合蛋白質をα細胞に発現させ、活性化に伴うグルカゴンの開口放出を発光イメージングによって検出することに成功した。α細胞は凝集して増殖するが、グルカゴンの開口放出は細胞が密集しているところで活発に起こっていた。また、同じ場所で繰り返し開口放出が起こっていることも明らかになった。これらの結果は、細胞間接着が細胞内分泌顆粒の動きと細胞膜との融合に強い影響を及ぼしていることを示唆しており、その分子機構を詳細に明らかにする基礎となる知見であると考えている。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (3件)
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