研究実績の概要 |
昨年度に試作品を完成させた細胞基板挿入型を用い、マクロファージ様株化細胞のタンパク質Xを介した相互作用の実時間可視化を目指した。タンパク質Xのリアルタイム可視化に必要なサンドイッチ抗体セットの選定を行ったが市販されている抗体が非常に少ない上に条件に適うものは1社からしか販売されておらず、これの親和性が極端に低いため難航している。同時に、相互作用の結果であるY遺伝子のmRNA発現のリアルタイム可視化を行えるか検討した。可視化プローブとして既報のものを候補として検討を行ったが、Echoプローブ(Chem. Asian J., 3, 958-, 2008)についてはシグナル/ノイズ比が非常に小さかったために使用を断念した。RNAアプタマーを遺伝子的に導入してY遺伝子の可視化を行う方法に着手し、改良型Spinach(iSpinach; Nucl. Acids. Res., 44, 2491-, 2016)等について検証を行っている。しかしながら期間内ではマクロファージ様株化細胞の相互作用可視化の系を完成させることが出来なかった。一方で、細胞基板挿入型を応用して、単一細胞からのエクソソーム放出の可視化について検討を行った。間葉系ガン細胞由来の培養細胞で、エクソソーム表面に発現しているタンパク質に蛍光標識を融合したものを用いたところ、本システムによって細胞体の強い蛍光と識別することが出来た粒子状の蛍光体の出現を確認できた。これがエクソソームであるかどうかは検証中である。最後に、浮遊細胞の相互作用に対する検出プラットフォーム開発のモデルとして、インフルエンザ感染マウスより分離したB細胞からのインフルエンザ抗原特異的IgA分泌をモニタリングしたところ、1匹のマウスより得られたおよそ10万個のB細胞から数個しか存在しない標的IgA分泌細胞を検出することに成功した。
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