研究課題/領域番号 |
26440103
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
佐藤 孝哉 大阪府立大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (20251655)
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研究分担者 |
竹中 延之 大阪府立大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (20610504)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | インスリン / GTP結合タンパク質 / 骨格筋 / 細胞内シグナル伝達 / 糖取り込み |
研究実績の概要 |
骨格筋におけるインスリン応答性の糖取り込みは、糖輸送担体GLUT4の細胞内小胞から細胞膜への移行を介している。我々は、このシグナル伝達系において、Rhoファミリー低分子量GTP結合タンパク質Rac1が重要な役割を果たしていることを見出してきた。しかし、Rac1がGLUT4の細胞膜への移行を誘導するメカニズムには不明の点が多い。一方、脂肪細胞でのインスリン応答性のGLUT4の細胞膜移行において、Rasファミリー低分子量GTP結合タンパク質RalAが重要な機能を担っている。そこで、本年度は、マウス骨格筋を用いて、インスリンシグナル伝達系におけるRalAの機能解析を行った。とくに、Rac1の下流でのRalAの役割を解明することを目的とした。まず、RalAのドミナントネガティブ型変異体をマウス腓腹筋に遺伝子導入、異所性発現させ、それらの効果を検討した。その結果、ドミナントネガティブ型RalA変異体は、インスリン刺激および恒常的活性型Rac1の異所性発現によるGLUT4細胞膜移行を抑制した。次に、特異的siRNAを用いたRalAノックダウンの効果を検討した。その結果、RalAをノックダウンした場合にも、インスリン刺激および恒常的活性型Rac1の異所性発現によるGLUT4細胞膜移行が抑制された。最後に、特異的ポリペプチドプローブを用いた免疫蛍光染色法により、筋繊維におけるRalAの活性化状態を可視化した。その結果、インスリン刺激および恒常的活性型タンパク質キナーゼAkt2によるRalAの活性化は、骨格筋特異的Rac1ノックアウトマウスの筋繊維では観察されなくなった。以上の結果より、マウス骨格筋でのインスリンシグナル伝達系において、RalAがRac1の下流で機能していることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度当初に計画した研究に関しては、ほぼ予想に合う結果が得られたので、年度内に成果を報告することができた。とくに、マウス骨格筋におけるsiRNAを用いたノックダウン法については、想定より速やかに確立することができた。
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今後の研究の推進方策 |
蛍光免疫染色法による低分子量GTP結合タンパク質の活性化状態の可視化法をさらに改良し、簡便性、汎用性の高いプロトコールを確立する。また、Rac1を介するインスリンシグナル伝達系の未知の制御因子の探索を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
想定していた旅費の支出がなくなり、その分は購入の必要が生じた物品費に充当したが、残額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度の物品費に充当する予定でである。
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