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2014 年度 実施状況報告書

動物細胞のペルオキシソーム形成における小胞体の関与

研究課題

研究課題/領域番号 26440105
研究機関東京薬科大学

研究代表者

谷 佳津子  東京薬科大学, 生命科学部, 教授 (40266896)

研究分担者 若菜 裕一  東京薬科大学, 生命科学部, 助教 (90635187)
研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード小胞体 / ペルオキシソーム / 脂肪滴 / 膜輸送 / オルガネラ形成
研究実績の概要

小胞体は分泌輸送のスタート地点であり、分泌経路に位置するオルガネラの形成起点である。一方小胞体は分泌経路以外のオルガネラとも近接あるいは接触し、それらの形成・機能に密接に関わることがわかってきている。本研究では、小胞体からペルオキシソームへのタンパク質輸送の解析を行い、さらに小胞体を介したペルキシソーム形成と脂肪滴形成との連携の可能性を探ることを目的とする。平成26年度は以下の結果を得た。
1)輸送基質の解析:我々は以前、分泌輸送に働くと考えられていたSec16Bがペルオキシソームへの輸送に働くことを報告した。Sec16Bの発現抑制はペルオキシソーム膜タンパク質Pex16の小胞体蓄積を引き起こす。今回Pex11のペルオキシソーム局在へのSec16B発現抑制の影響を解析した。一過性にPex11を発現させた場合、Sec16Bの発現抑制により局在異常が観察されたが、Pex11を安定発現させた場合には異常は観察されなかった。この結果より、Pex11のペルオキシソーム局在には、小胞体を経由する経路と直接取り込まれる経路の双方が関わり、Pex11の量により経路が変わる可能性が考えられた。
2)ペルオキシソーム輸送のin vitro系構築の試み:Pex16-GFPを安定発現させたHeLa細胞を用い、小胞体からペルオキシソームタンパク質を運ぶ輸送体の検出を試みた。分泌輸送に働くCOPII小胞が検出される条件で、Pex16-GFPを含む膜画分は検出できなかった。輸送体の量が少ない可能性が考えられるので、ペルオキシソームへの輸送を促進させる条件を見出し、解析を行う必要がある。
3)小胞体サブドメインの解析および輸送中間体の解析:Syn18の発現抑制が、一過性に発現したPex16-GFPの小胞体局在を増加させることを見出した。また小胞体に蓄積するPex16変異体を用いてクロスリンク実験を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

小胞体からペルオキシソームへの輸送機構の解析に関しては、計画書に従って実験を行い、一定の進歩があったと考えている。Sec16Bの発現抑制によるPex11局在への影響の解析から、Pex11のペルオキシソーム局在には小胞体を経由する経路と直接取り込まれる経路の双方が関わり、Pex11の量により経路が変わる可能性を示すことができた。またin vitro輸送系の構築に着手し、その問題点を明確とすることができた。小胞体サブドメインの解析および輸送中間体の解析でも一定の結果が得られていると考えている。一方、Sec16Bの脂肪滴形成への関わりに関する実験は、着手はしたものの進展は得られなかった。

今後の研究の推進方策

H26年度の結果を基に小胞体からペルオキシソームへの輸送機構の解析を進める。Pex11以外のペルオキシソーム膜タンパク質について同様の解析を行う。in vitro系による輸送体の単離を再度試み、うまくいかない場合は顕微鏡観察によるin vitro輸送系の構築を行う。Syn18のペルオキシソームへの輸送への関わりについて解析を行う。また中間体が蓄積する小胞体ドメインの解析を行う。脂肪滴形成へのSec16Bの関与およびペルキシソーム形成と脂肪滴形成との小胞体を介した連携に関する解析を進める。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] A Role for the Ancient SNARE Syntaxin 17 in Regulating Mitochondrial Division.2015

    • 著者名/発表者名
      Arasaki, K., Shimizu, H., Mogari, H., Nishida, N., Hirota, N., Furuno, A., Kudo, Y., Baba, M., Baba, N., Cheng, J., Fujimoto, T., Ishihara, N., Ortiz-Sandoval, C., Barlow, L. D., Raturi, A., Dohmae, N., Wakana, Y., Inoue, H., Tani, K., Dacks, J. B., Simmen, T., and Tagaya, M.
    • 雑誌名

      Dev. Cell

      巻: 32 ページ: 304-317

    • DOI

      10.1016/j.devcel.2014.12.011.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Late-onset spastic ataxia phenotype in a patient with a homozygous DDHD2 mutation.2014

    • 著者名/発表者名
      Doi, H., Ushiyama, M., Baba, T., Tani, K., Shiina, M., Ogata, K., Miyatake, S., Fukuda-Yuzawa, Y., Tsuji, S., Nakashima, M., Tsurusaki, Y., Miyake, N., Saitsu, H., Ikeda, S., Tanaka, F., Matsumoto, N., and Yoshida, K.
    • 雑誌名

      Sci. Rep.

      巻: 4 ページ: 7132

    • DOI

      10.1038/srep07132.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Phosphatidic Acid (PA)-Preferring Phospholipase A1 regulates mitochondrial dynamics.2014

    • 著者名/発表者名
      Baba, T., Kashiwagi, Y., Arimitsu, N., Kogure, T., Edo, A., Maruyama, T., Nakao, K., Nakanishi, H., Kinoshita, M., Frohman, M.A., Yamamoto, A., and Tani, K.
    • 雑誌名

      J. Biol. Chem.

      巻: 289 ページ: 151–161

    • DOI

      10.1074/jbc.M113.531921.

    • 査読あり
  • [学会発表] 細胞内型ホスホリパーゼA1 KIAA0725p/DDHD2のノックアウトマウス作製と生理機能の解析2014

    • 著者名/発表者名
      丸山智広、馬場崇、有光なぎさ、柏木ゆり子、谷佳津子
    • 学会等名
      第87回日本生化学会大会
    • 発表場所
      国立京都国際会館
    • 年月日
      2014-10-15 – 2014-10-18
  • [学会発表] Phosphatidic acid-preferring phospholipase A1 (PA-PLA1)/DDHD1のトランスフェリン受容体リサイクリングへの関与2014

    • 著者名/発表者名
      馬場崇、泉欣延、柏木ゆり子、谷佳津子
    • 学会等名
      第87回日本生化学会大会
    • 発表場所
      国立京都国際会館
    • 年月日
      2014-10-15 – 2014-10-18

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公開日: 2016-05-27  

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