• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2015 年度 実施状況報告書

Hikeshiによるストレス依存的核輸送の駆動機序とその生理機能解析

研究課題

研究課題/領域番号 26440109
研究機関国立研究開発法人理化学研究所

研究代表者

小瀬 真吾  国立研究開発法人理化学研究所, 今本細胞核機能研究室, 専任研究員 (90333278)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード核-細胞質間輸送 / 分子シャペロン / 熱ストレス
研究実績の概要

細胞が熱に曝されると、通常と異なる核-細胞質間輸送経路が活性化する。Hikeshiは熱ストレスに応答して分子シャペロンHSP70を核に輸送する運搬体分子であり、この輸送経路が遮断されると、細胞は熱ストレスによるダメージから回復できずに細胞死を起こす。本研究目的は、熱ストレス時のHikeshiによる輸送の活性化機構の解明と、分子シャペロンシステムにおけるHikeshiの新しい機能を探り、「核-細胞質間分子輸送」と「分子シャペロン」の両システムの細胞機能における統合的理解を目指すことにある。本年度は主に以下のような成果を得た。
1. 分子シャペロンシステムにおけるHikeshiの機能:タンパク質恒常性維持機構におけるHikeshiの機能解析を進めた。リコンビナントタンパク質によるin vitro解析により、HikeshiがHSP70によるタンパク質フォールディング活性を制御することを明らかにした。
2.ヒト遺伝性疾患におけるHikeshi点変異体の解析:イスラエルグループとの共同研究により、Hikeshi遺伝子の点変異が誘発するヒト遺伝性疾患の解析を行った。このHikeshi点変異体は野生型HikeshiよりもHSP70との結合力が強いが、患者由来線維芽細胞においては内在性Hikeshi点変異体タンパク質の存在量が少なく、熱ストレス時のHSP70核移行も効率よく起こらなかった。Hikeshiが熱ストレス時以外にも重要な機能をもっている可能性が強く示唆された。
3. 熱ストレス応答における遺伝子発現変化の解析:新学術領域「ゲノム支援」の援助を受け、RNA-seqによる遺伝子発現解析を行った。野生型とHikeshiノックアウトHeLa細胞で、正常時、熱ストレス時、ストレスからの回復時における遺伝子発現変化のデータを得た。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

海外共同研究として、Hikeshiを原因遺伝子とする遺伝性疾患の解析を原著論文として発表出来たことは大きな成果であり、医学的見地からも本研究の重要性が増したと考える。タンパク質フォールディングシステムにおけるHikeshiの機能の示唆するデータも揃いつつあり、次世代RNAシークエンス解析からは、Hikeshiが熱ストレス時の適切な遺伝子発現応答に重要であることを示唆するデータが得られた。

今後の研究の推進方策

引き続き、Hikeshiの核-細胞質間輸送における機能解析を進めるとともに、分子シャペロンシステムにおける機能の詳細を明らかにする。また、Hikeshiノックアウト細胞などでのRNA-seq解析などを通して、Hikeshiが転写制御や代謝などにも重要な役割をもっている可能性がでてきたので、これらのHikeshiの機能を分子レベルで明らかにしていく。

次年度使用額が生じた理由

抗体等の物品費として予定していたが、実験結果等をさらに検討して購入したいと考え、次年度使用分として残した。

次年度使用額の使用計画

抗体等の物品費として予定している。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2016 2015

すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Leukoencephalopathy and early death associated with an Ashkenazi-Jewish founder mutation in the Hikeshi gene2016

    • 著者名/発表者名
      Edvardson,S., Kose,S., Jalas, C., Fattal-Valevski,A., Watanabe, A., Ogawa, Y., Mamada, H., Fedick, A.M., Ben-Shachar, S., Treff, N.R., Shaag, A.,Bale, S., Gärtner, J., Imamoto, N., Elpeleg, O.
    • 雑誌名

      J. Med. Genet.

      巻: 53 ページ: 132-137

    • DOI

      10.1136/jmedgenet-2015-103232.

    • 査読あり / 国際共著 / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Molecular mechanism by which acyclic retinoid induces nuclear localization of transglutaminase 2 in human hepatocellular carcinoma cells2015

    • 著者名/発表者名
      Shrestha, R., Tatsukawa, H., Shrestha, R., Ishibashi, N., Matsuura, T., Kagechika, H., Kose, S., Hitomi, K., Imamoto, N., Kojima S.
    • 雑誌名

      Cell Death. Dis.

      巻: 6 ページ: e2002

    • DOI

      10.1038/cddis.2015.339.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 核-細胞質間輸送運搬体Hikeshiの機能:熱ストレス応答時における遺伝子発現変化の網羅的解析2016

    • 著者名/発表者名
      小瀬真吾、高木昌俊、儘田博志、今本尚子
    • 学会等名
      第33回染色体ワークショップ・第14回核ダイナミクス研究会合同開催
    • 発表場所
      宮城県宮城郡(松島一の坊)
    • 年月日
      2016-01-12 – 2016-01-14
  • [学会発表] 熱ストレス依存的HSP70運搬体分子Hikeshi:その機能と遺伝性疾患2015

    • 著者名/発表者名
      小瀬真吾、渡邊愛、今本尚子
    • 学会等名
      第38回日本分子生物学会年会/第88回日本生化学会大会合同大会
    • 発表場所
      神戸市(神戸ポートアイランド)
    • 年月日
      2015-12-02
  • [学会発表] HSP70輸送分子Hikeshi:その構造と機能2015

    • 著者名/発表者名
      小瀬真吾、Jinsue Song、渡邊愛、Soo Jae Lee、今本尚子
    • 学会等名
      第67回日本細胞生物学会大会
    • 発表場所
      東京都江戸川区(タワーホール船堀)
    • 年月日
      2015-07-01 – 2015-07-02

URL: 

公開日: 2017-01-06  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi