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2016 年度 実績報告書

Hikeshiによるストレス依存的核輸送の駆動機序とその生理機能解析

研究課題

研究課題/領域番号 26440109
研究機関国立研究開発法人理化学研究所

研究代表者

小瀬 真吾  国立研究開発法人理化学研究所, 今本細胞核機能研究室, 専任研究員 (90333278)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード核-細胞質間輸送 / 分子シャペロン / 熱ストレス / Hikeshi / Hsp70
研究実績の概要

Hikeshiは、熱ストレスに応答して、分子シャペロンHSP70を細胞質から核に輸送する運搬体分子である。このHikeshi依存的輸送経路が遮断されると、熱ストレスによる細胞の生存率が顕著に低下することから、Hikeshiは細胞のストレス防御機構に重要である。本研究では、ストレス時のHikeshi依存的輸送経路の駆動機序と生理的機能の詳細を理解することを主な目的とし、以下のことを明らかにした。
Hikeshi二量体の結晶構造を明らかにし、核膜孔通過における新しい制御機構の可能性を示した。蛍光相関分光法/蛍光相互相関分光法により、HikeshiとHSP70の輸送複合体形成に熱そのものが重要な要素であることを明らかにした。また、HikeshiはATP型HSP70に作用することで、分子シャペロンシステムの制御因子として機能できることが判った。さらに、Hikeshi遺伝子の点変異が重篤な遺伝性疾患を誘発することが判った。患者細胞では顕著にHikeshiタンパク量が低下しており、熱ストレス時のHSP70核移行活性も低下していた。また、Hikeshiノックアウト細胞での解析から、正常温度下でもHSF1による熱ストレスタンパク質群の発現が亢進していることが判った。Hikeshi機能が欠損することで、タンパク質恒常性維持機構になんらかのストレスがかかっている可能性が考えられ、その解析を進めている。
これらの解析結果は、Hikeshiが、単に熱ストレス時にのみ機能する分子ではなく、個体発生や正常温度下においても重要な細胞機能を担っていることを強く示唆するものである。Hikeshiの基本的分子機能を明らかにしていくことで、遺伝性疾患の発症機序も明らかになっていくものと考えている。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2017 2016 その他

すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件)

  • [国際共同研究] Chungbuk National University(韓国)

    • 国名
      韓国
    • 外国機関名
      Chungbuk National University
  • [国際共同研究] Hadassah Medical Center(イスラエル)

    • 国名
      イスラエル
    • 外国機関名
      Hadassah Medical Center
  • [雑誌論文] Extensive cargo identification reveals distinct biological roles of the 12 importin pathways2017

    • 著者名/発表者名
      Kimura, M., Morinaka, Y., Imai, K., Kose, S., Horton, P., Imamoto, N.
    • 雑誌名

      Elife

      巻: 6 ページ: e21184

    • DOI

      10.7554/eLife.21184.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Hikeshiノックアウト細胞における遺伝子発現変化とストレス応答の解析2017

    • 著者名/発表者名
      小瀬真吾、渡邊愛、高木昌俊、儘田博志、今本尚子
    • 学会等名
      第34回染色体ワークショップ・第15回核ダイナミクス研究会合同開催
    • 発表場所
      かずさアカデミアホール(千葉県木更津市)
    • 年月日
      2017-01-11 – 2017-01-13
  • [学会発表] 核-細胞質間タンパク質運搬体分子Hikeshi: 熱ストレス時に活性化する分子シャペロンHSP70輸送機構とその生理機能2016

    • 著者名/発表者名
      小瀬真吾、今本尚子
    • 学会等名
      第89回日本生化学会大会 シンポジウム「温度生物学の新展開」
    • 発表場所
      東北大学川内キャンパス(宮城県仙台市)
    • 年月日
      2016-09-25
    • 招待講演

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公開日: 2018-01-16  

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