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2015 年度 実施状況報告書

小胞体の膜形態による機能的サブコンパートメント形成機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 26440110
研究機関国立研究開発法人理化学研究所

研究代表者

黒川 量雄  国立研究開発法人理化学研究所, 光量子工学研究領域, 専任研究員 (40333504)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード輸送小胞 / 小胞体 / ライブイメージング
研究実績の概要

小胞体は、連続した膜構造を持つにもかかわらず、形態的にはシート状とチューブ状の膜構造に分かれ、機能的には独立した異なる機能を持つサブコンパートメントに分かれている。本研究では、輸送小胞の出芽領域が小胞体膜の高い曲率領域に形成される分子機構の解明を目指すとともに、その他の機能的なサブコンパートメントの形成への小胞体膜形態の関与を明らかにすることを目的に研究を進めている。
27年度は、26年度に引き続き超高感度高速ライブイメージング顕微鏡を用いて輸送小胞の出芽領域形成の分子機構の解析をおこなった。輸送小胞形成開始をつかさどるSar1はSec12により活性化しCOPIIコートタンパク質の集積に先んじてERESに集積する。3次元構造を解析した結果、Sar1はCOPII輸送小胞の根元に限局して集積することが判明したが、その分子機構を解析するためにSar1の活性化型変異体を酵母細胞に導入しCOPIIコートタンパク質ならびに活性化型Sar1の3次元局在を解析した。その結果、活性化型Sar1は巨大なCOPIIコートタンパク質が集積する膜構造の形成を促し、かつその根元のみならず全体に局在したことからSar1の小胞の根元への限局した局在はSar1-GTPの加水分解によりもたらされることが明らかとなった。一方、小胞の融合に働くSec18の温度感受性株では膜から遊離した小胞が細胞質中に多数見られたため、COPII小胞は小胞体膜から遊離して細胞質中を漂い、ゴルジ体へ輸送されるモデルが考えられていた。そこでsec18温度感受性株におけるCOPIIコートタンパク質の細胞内局在を解析したところ、制限温度下でもCOPIIコートタンパク質は安定して小胞体膜上に局在することが明らかとなった。この結果はCOPII小胞が細胞質中に遊離する効率は非常に少ないことを示唆する結果であった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初予定していたSec16温度感受性株を用いたCOPII出芽領域形成と膜構造の解析を早期に終了させたため、Sar1活性とCOPII出芽領域の膜構造の解析をおこなうことができた。さらにとCOPII輸送小胞の局在とSar1活性に着目してSar1のCOPII小胞の根元に限局した集積がSar1の活性化不活性化に伴う膜局在機構に関連することが判明した。さらにsec18温度感受性株におけるCOPIIコートタンパク質の細胞内局在を解析したところ、制限温度下でもCOPIIコートタンパク質は安定して小胞体膜上に局在することを明らかにすることができ、当初の研究計画とは異なるが順調に研究を進められている。

今後の研究の推進方策

Sar1の活性化因子であるSec12の温度感受性株を用いて、制限温度下でSec12の機能を阻害した後に、許容温度下に戻してSec12の機能を回復させて、一旦消失した輸送小胞出芽領域がどのように新規形成されるかの解析を中心に研究を進めていく。この際、野生株と高い膜曲率に依存して局在するレティキュロンタンパク質を欠損した変異株を用いて小胞体シート辺縁にのみCOPII小胞が形成される株とを比較しながら解析を進めていくことで膜曲率が新たなCOPII小胞形成との関連を解析する。

次年度使用額が生じた理由

現在までに得られた画像データの解析のために、新規にデータ解析ソフトを購入する必要が生じたため、当該年度の研究費を繰り越して次年度使用額に組み入れることでソフトの購入をおこなうため。

次年度使用額の使用計画

2016年 ~7月 Imaris (画像解析ソフト) 購入
現在までに得られた画像データを3次元化し、さらに内部構造を任意の場所から解析することにより膜構造と分子局在の比較を行う。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2015

すべて 学会発表 (6件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件)

  • [学会発表] Sar1 concentrates at the neck of COPII-coated vesicle in vivo2015

    • 著者名/発表者名
      黒川量雄、須田恭之、中野明彦
    • 学会等名
      BMB2015 (第38回日本分子生物学会年会/第88回日本生化学会大会 合同大会)
    • 発表場所
      神戸ポートピアアイランド(兵庫)
    • 年月日
      2015-12-01
  • [学会発表] Sar1 concentrates on the neck region of COPII-coated vesicle at the endoplasmic reticulum exit sites in vivo.2015

    • 著者名/発表者名
      黒川量雄、中野明彦
    • 学会等名
      Cell biology of yeasts
    • 発表場所
      Cold spring Harbor laboratory (New York)
    • 年月日
      2015-11-04
    • 国際学会
  • [学会発表] Studies on the molecular mechanism of cisternal maturation in budding yeast Sacharomyces cerevisiae2015

    • 著者名/発表者名
      石井みどり、黒川量雄、須田恭之、中野明彦
    • 学会等名
      Cell biology of yeasts
    • 発表場所
      Cold spring Harbor laboratory (New York)
    • 年月日
      2015-11-04
    • 国際学会
  • [学会発表] ゴルジ体槽成熟におけるCOPIタンパク質の解析2015

    • 著者名/発表者名
      石井みどり、黒川量雄、須田恭之、中野明彦
    • 学会等名
      酵母遺伝学フォーラム第48回研究報告会
    • 発表場所
      広島大学(広島)
    • 年月日
      2015-09-01
  • [学会発表] 細胞内膜交通の高速高感度高解像度イメージング2015

    • 著者名/発表者名
      黒川量雄、中野明彦
    • 学会等名
      第67回日本細胞生物学会大会
    • 発表場所
      タワーホール船橋(東京)
    • 年月日
      2015-07-02
    • 招待講演
  • [学会発表] Saccharomyces cerevisiaeのゴルジ体槽成熟におけるCOPIの機能解析2015

    • 著者名/発表者名
      石井みどり、黒川量雄、須田恭之、中野明彦
    • 学会等名
      第67回日本細胞生物学会大会
    • 発表場所
      タワーホール船橋(東京)
    • 年月日
      2015-06-30

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公開日: 2017-01-06  

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