研究課題
2012年に報告者は、細胞増殖と休止が中心体上の一次線毛動態によって切り替わる全く新しいしくみを、Trichopleinの中心体局在の有無に基づく分子機構と共に示した(InokoらJCB 2012, 猪子ら化学と生物2013)。最近、Trichoplein類似蛋白質であるAlbatross(InokoらJCB2008)の中心体局在もTrichopleinとは全く違う仕組みで細胞周期進行を保証している示唆を得た。すなわちAlbatrossは増殖時の中心小体複製と紡錘体形成、飢餓時の一次線毛形成のすべてに寄与する初めてのたんぱく質であるという発見であった。本研究では、この中心体Albatrossによる細胞増殖寄与の詳細な分子基盤解析を行ってきた。H28年度は、中心小体複製の分子基盤が主要な蛋白質との結合にあること、紡錘体形成の分子基盤が主要な分裂期キナーゼの結合にあることを明らかにした。また、Albatross変異体解析により、その責任配列も明らかにすることができた。以上のことから細胞間接着の鍵を握るAlbatross(InokoらJCB2008)は増殖細胞の中心体ではあらゆる微小管動態を統合する初めてのたんぱく質であるという確固たる確証に至った。まさにAlbatrossは増殖と分化のbi-playerである。この分子基盤が中心体固有の分化現象である気管線毛形成にあてはまるかを今後検討することは、高次分化を紐解く上でさらに有意義であると考える。同様に、中心体連結として細胞周期制御に寄与し、線毛根としての感覚寄与も示すRootletin線維の新型顕微鏡による非染色可視化に成功した。これは筑波大加納英明准教授との医工学共同責任研究成果として、多くのWebニュースに取り上げられた。本技術は広範な生物感覚構造が可視化できることから、眼病診断や生物感覚研究への応用が期待される。
細胞周期と相関する中心体連結や線毛根として生物感覚に関わる非常に小さな構造であるRootletinフィラメントが新型の分光顕微鏡で非染色可視化出来ることを分子生物学に証明し、多くのWebニユースで取り上げられた。これは筑波大・加納英明准教授との医工学共同責任研究成果である。
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Sci. Rep.
巻: 7 ページ: 39967
doi:10.1038/srep39967
http://researchmap.jp/read0164677/
http://www.tsukuba-sci.com/?p=1406
http://www.pref.aichi.jp/soshiki/byoin-kanri/290106soumu.html
http://www.optronics-media.com/news/20170110/45287/
https://www.adcom-media.co.jp/news/2017/01/25/24906/