研究課題/領域番号 |
26440113
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
鮎川 友紀 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), その他 (80586165)
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研究分担者 |
山崎 正和 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (40373378)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 平面内細胞極性 / PCP / 発生生物学 / 遺伝学 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、組織平面における個々の細胞の極性を制御する機構である平面内細胞極性(planar cell polarity, PCP)の分子基盤を解明することである。これまでの研究でPCPの主要制御因子は機能的な違いからコアグループとDachsous(Ds)グループの大きく2つのグループに分類されていたが、我々は独自に同定したPCP分子Jitterbug(Jbug)の機能解析を行っている過程で、この分子が新たなPCP制御グループ(Jbugグループ)に属する可能性を示唆する結果を得た。さらに、このJbugグループに属する新規PCP分子(Member of Jbug group, MJG)を複数同定することに成功している。本研究では、特にMJG2、MJG3、MJG6に着目して機能解析を行い、Jbugグループを介した新たなPCP制御機構の解明を目指す。 MJG2、MJG3、MJG6の機能解析を行うに当たり、FLAGタグやMycタグを付加したこれら分子の各種発現ベクターの構築を行った。哺乳動物細胞発現用のベクターとして、MJG2、MJG3、MJG6、ショウジョウバエ個体で発現させるベクターとして、MJG2、MJG6に関してコンストラクトの作製を完了している。 我々は、タンパク質間相互作用情報、遺伝学的相互作用情報のデータベースと照らし合わせ、MJG分子とコアグループ分子であるFrizzled(Fz)との間に密接な関係があることを見出している。Jbugグループ分子とFzとの関係を明らかにするために、本年度はJbugグループの中で中心的な働きをしていると考えられるjbugのノックダウンを行い、様々な発生段階においてFzの細胞内局在に影響を与えるか検討を行った。その結果、jbugのノックダウンを行ってもFzの細胞内局在は顕著に変化しないことが判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請書で提案した通りに研究計画をおおむね順調に進めていて、「研究の目的」を達成することが可能であると考えられるため。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度までの解析で新たにMJG6がJbugグループに属する可能性が示唆され、MJG6についても発現ベクターの構築を行った。このため、MJG3のショウジョウバエ発現ベクターの構築が遅れたので、本年度はこれを完了する。また、完成したプラスミドを用いてショウジョウバエトランスジェニック系統の作製を行う。 昨年度、JbugがFzの細胞内局在には顕著な影響を与えないことが判明した。本年度は、MJG2、MJG3、MJG6についても同様であるか検討を行う。また、本年度予定していた研究計画を遂行するとともに、Jbugグループ分子がFzの細胞内局在以外の点でコアグループを制御する、もしくはFzを介さずPCP経路を制御する可能性も想定して研究を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
上述したように、昨年度までの解析で新たにMJG6がJbugグループに属する可能性が示唆され、予想よりも多くの遺伝子について解析を行っている。このため、昨年度は、MJG6の発現ベクターの構築などに時間を要し、FLAGタグやMycタグを付加したMJG3をショウジョウバエ個体で発現させるためのトランスジェニック系統の作製計画の一部分が未実施となった。本年度は、未実施となった計画を行う必要があり、そのための繰越金が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
昨年度からの繰越金を合わせ、効率よく実験を進めることで申請書の研究実施計画を予定どおり遂行する。
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