研究実績の概要 |
本研究では、組織平面内における個々の細胞の極性を制御する機構(平面内細胞極性, planar cell polarity, PCP)を分子レベルで解明することを目的とする。PCPの主要制御因子は、その機能的な違いからコアグループとDachsousグループの2グループに分類されることが報告されている。我々は独自に同定したPCP分子Jitterbug(Jbug)の機能解析の過程で、この分子が新たなPCP制御グループ(Jbugグループ)に属する可能性を示唆する結果を得た。さらに、Jbugグループに属する複数の新規PCP分子(Member of Jbug group, MJG)の同定に成功している。昨年度は、MJG5(Dumpy)に着目して機能解析を行い、Jbugグループを介した新たなPCP制御機構の一端を明らかにした。本年度はJbugグループの中で中心的な働きをしていると考えられるJbugに関して解析を行った。 Jbugとコアグループの関係を解析するために、本年度はコアグループ分子であるstrabismus (stbm) に着目して解析を行った。まず、蛹期の胸背板におけるstbmの細胞内局在を解析した。細胞内局在の解析にはアクチンプロモーターのもとStbmのGFP融合蛋白質を発現する系統を用いて、その細胞内局在への影響を検討した。蛹が形成され始めてから25時間後(25hr after puparium formation:25hr APF)(30℃飼育)において、Stbmが非対称に局在した。また、JbugとStbmとの機能的な関連を検討するために、jbugをノックダウンした蛹期の中胸背板においてStbmの細胞内局在を検討した(25hr APF 30℃飼育)。その結果、jbugのノックダウンによってStbmの細胞内局在に顕著な違いは観察されなかった。
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