GogoとFmiの強制共発現によるM3層への誤投射の解析を行った。ショウジョウバエの視神経の内、R7はR8より先にメダラに侵入し、最終的にはR8層の投射先であるM3層より深いM6層に投射する。R7にGogoとFmiを強制的に幼虫期から成虫期まで継続的に同時に強く強制発現すると、本来R8の投射するM3層に誤投射する。そこで、GogoとFmiの協調的なM3層への投射機能がどの時期で必要となるのかを、Gal80tsを用いて分子の発現を蛹化後の各ステージで開始することにより調べることを計画していた。しかし、GogoとFmiの発現をGal80tsを用いて調節する方法は形態異常が起こるため解析が難しいことが判明した。そこで、今年度はFlippaseを用いて視神経においてGal4の発現を誘導できるGMR-FSF-Gal4によりGogoとFmiを発現させることを試みた。従来のように、蛹化したての個体を集め、決まった時間に手動でヒートショックをかけるという方法では、手間がかかり多くのサンプルを得ることができないという問題があった。そこで、蛹と幼虫が混在するバイアルを、従来のように恒温水槽に浸して用いて温度を上げることによってFLPを発現させ、蛹の羽化した時期から逆算して遺伝子が発現し始めた時期を求めることにした。また、ヒートショックをかけた後は低温(18℃)で維持することにより、形態異常が生じるのを抑えた。この方法により、GogoとFmiを蛹化後24時間で発現開始させた場合はM3層に投射する軸索が見られたが、それ以降ではM3層に投射する軸索はほとんど見られないという結果を得た。
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