研究課題
被子植物の茎頂分裂組織は、外衣―内体説に基づいた細胞層構造をもつ。外衣の細胞は、垂層分裂のみを繰り返すことによって細胞の混雑を防ぎ、各層のアイデンティティーを維持している。茎頂分裂組織でおこる複雑な発生プロセスを正しく実行するためには、厳密な層構造の構築・維持が必要不可欠である。本研究課題では、茎頂分裂組織の細胞層構造に着目し、層構造の構築・維持に関わる分子基盤ならびに、リガンド-受容体を介した細胞層間コミュニケーションの実体を明らかにし、発生プロセスにおける層構造の役割について理解を深化させることを目指す。研究項目1:L1層ならびにL2層特異的遺伝子群の単離と機能解析、については、平成26年度は各細胞層特異的に発現する遺伝子群の単離に向けて、形質転換シロイヌナズナの作出に多くの時間を費やした。最終的には、GFP蛍光タンパク質の観察によって目的とする細胞における外来遺伝子の発現が確認できたことから、次年度以降の研究の基盤整備が完了した。研究項目2:L1層細胞の分化・隣接細胞とのコミュニケーションに関わる受容体様キナーゼのリガンド候補探索、については、候補因子スクリーニングに向けてのベクターの整備並びに改良版BiFC法のin vivoパイロット実験が順調に進捗した。よって、候補因子の探索の後に迅速に相互作用の検討を開始することが大いに期待できる。全体を通して、研究は概ね順調に進捗していることから、引き続き当初計画に則り研究を実施していく。
2: おおむね順調に進展している
比較的時間が必要である形質転換シロイヌナズナの作出も順調に進んでおり、おおむね順調に進展している。
当初計画に則り、研究を進めていく計画である。
昨年度は、おおむね順調に進捗したものの、リガンド候補因子のスクリーニング開始には至らなかったため、一般試薬、特殊試薬の使用が計画と比して少なかったためである.
平成27年度は関連学術論文の投稿も予定されていることから,「その他」経費の使用、学会発表に伴う「旅費」の発生も含め,十分に使用が可能である.
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