研究課題
原核生物であるシアノバクテリアは、概日リズムを持つことが知られており、光合成活性や細胞分裂が約24時間周期で自律的に振動する。シアノバクテリアの多くの遺伝子の発現は概日時計に制御されており、24時間周期リズムでもって発現していることが知られている。シアノバクテリアの概日時計は、KaiA, KaiB, KaiCという三つの時計タンパク質によって構成されている。本研究では、概日的な遺伝子発現制御の大元である概日時計本体の周期が、どのような仕組みで調節されているのかを解明することを目的としている。概日時計の周期は、一般的に光照度に依存して変化するという性質を持つ。シアノバクテリアは照度が高くなるほど、周期が短縮する。平成27年度は、kai遺伝子に点変異を導入し、その周期が24時間から変化したシアノバクテリアを複数選別し、その周期変異体群から解析に適したものを探した。さらに、変異部位を同定し、光照度に依存した周知長変化の観察および遺伝子発現活性の測定を行った。
2: おおむね順調に進展している
平成27年度は、周期の調節機構を解析するために、おもにkaiC遺伝子に点変異が入った変異体の選別と、周期調節に寄与する可能性がある因子の破壊株の作成を行った。一部の遺伝子では平成26年度の解析から、おそらく生育に必須であるため破壊は出来ないことがわかったため、点変異導入を実施したところ、一部については変異体が得られた。これらの変異体について、機能解析実験を進めることができた。
今後は平成27年度に作製および選別した変異株を用いて、周期決定機構についてリズムの解析を行うと同時に、タンパク質を精製し、生化学的な解析を進める。
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Plant Cell Physiol.
巻: 57 ページ: 105-114
10.1093/pcp/pcv177