研究課題/領域番号 |
26440143
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
高木 慎吾 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (10192626)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 葉緑体アンカー / ビリン / アクチン細胞骨格 |
研究実績の概要 |
葉緑体は、特定の環境条件下で特徴的な分布パターンを保つことを介して光合成の最適化に寄与する。環境変化に応じた葉緑体の分布変化の過程で葉緑体のアンカー・脱アンカーが起こるが、それに関わる実体や制御機構は未解明である。我々は、葉緑体アンカーがアクチンに依存することを示し、多様なアクチン修飾能を持つCa2+感受性のアクチン結合蛋白質であるビリンがその制御に関与する可能性を検証している。 シロイヌナズナの5つのビリン分子種のうち、AtVLN2遺伝子をクローニングし、蛍光蛋白質との融合による可視化株を作製した。葉肉細胞から調製した細胞膜ゴーストを用いたアッセイにおいて、野生株では、アクチン脱重合剤処理、Ca2+処理によって葉緑体の脱落が誘導されるが、AtVLN2欠損株ではCa2+処理による葉緑体の脱落が起こりにくいことを見出していた。上記可視化株では、この表現型が回復していた。また、蛍光蛋白質のシグナルは葉緑体周縁部に検出された。 ロゼット葉から単離した葉緑体を用いたアクチン重合アッセイにおいて、重合反応は野生株とAtVLN2欠損株との間で違いは無いが、いったん重合させたアクチン繊維のCa2+処理による脱重合反応は、AtVLN2欠損株では起こらなかった。 以上の結果より、AtVLN2が葉緑体上に局在し、Ca2+濃度上昇に依存してアクチン繊維の脱重合をひき起こし、それを介して葉緑体の脱アンカーを誘導する可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
AtVLN2については可視化株の作製に成功し、解析を進めることが出来たが、AtVLN4可視化株の作製が予定よりも遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
AtVLN2可視化株ではポジティブな成果が得られつつあり、これらの確定を進め、論文として出来るだけ早期に発表する。AtVLN4可視化株の作製および解析に精力的に取り組む。
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次年度使用額が生じた理由 |
11月に人工気象室内でのカビの発生によって形質転換植物が死滅し、実験材料の調達が不充分となったことから、計画の進行が遅れた。
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次年度使用額の使用計画 |
植物の栽培、細胞膜ゴーストアッセイのための消耗品費、植物の栽培のためのアルバイト謝金として使用する。
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