本研究は、植物細胞の中で、葉緑体が、特定の環境条件の下で特定の分布パターンを保つことにより、受光量やCO2吸収量を調節し、光合成反応を最適な状態に維持する現象に注目している。葉緑体の分布パターンの維持に、アクチン細胞骨格が関与することを明らかにしており、アクチン細胞骨格の構築変化に働くCa2+感受性のアクチン結合蛋白質であるビリン(VLN)について解析した。モデル植物シロイヌナズナが持つ5つのビリンのうち、AtVLN2が、葉緑体上に局在し、Ca2+濃度の変化に応じてアクチン細胞骨格の構築を変化させ、柵状組織葉肉細胞の表層細胞質における葉緑体のアンカー状態を制御していることが強く示唆された。
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