研究実績の概要 |
タバコのニコチン生合成系遺伝子を制御するマスター転写因子ERF189と相同な因子は広く双子葉植物に存在する。タバコと同じナス科に属するトマトにも相同遺伝子JREが7つ存在し、そのうち6遺伝子JRE1-JRE6は、第一染色体の特定領域(300kb程度)にクラスター化する。いずれのJRE遺伝子もジャスモン酸により誘導された。ただし、その誘導パターン(タイミングや倍率)は遺伝子メンバー間で異なっていた。また、転写産物量はJRE4が他のメンバーよりも圧倒的に多かった。JRE4転写産物は葉と根を含む多くの組織で発現が見られたが、果実では登塾とともに発現が低下した。JRE3, JRE4, JRE6のそれぞれに機能抑制ドメインを付加したタンパク質を発現したトマト毛状根において、発現抑制される遺伝子を,cDNAマイクロアレイを用いて検索した。ステロイドグリコアルカロイド(SGA)であるトマチンの数多くの生合成酵素遺伝子がいずれの遺伝子の系統でも発現抑制されていた。また、JRE4を過剰発現したトマト植物体の葉を用いたアレイ解析でも、SGA生合成遺伝子の顕著な発現上昇が確認された。SGAおよびその代謝中間体であるコレステロール類の蓄積も生合成遺伝子の増減に相関性を示した。JREはトマトにおいてSGA生合成の制御転写因子であることが示された。
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