病害や傷害などの生物ストレスに対する初期応答として観察されるプリン分解の活性化について,その植物生理学的意義をこの代謝系と密接に関わる2種類の本質的に異なる生理活性分子,活性酸素及びジャスモン酸(JA)の作用を足掛かりに調査した。シロイヌナズナの逆遺伝学的解析から,活性酸素を生成するプリン分解の初発酵素・キサンチン脱水素酵素が,幅広い病原性微生物に対する抵抗性に関わる可能性が示された。また,プリン分解の主要な代謝中間体であるアラントインが,アブシシン酸を介して JA 生成を亢進し,その信号伝達系を活性化することで,この植物ホルモンが制御する病害及び傷害応答に関与することが示唆された。
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