外温性有羊膜類の中で、有麟目は最も適応放散した動物であり、低いエネルギー要求性の寄与が考えられる。我々はニホンヤモリのインスリンとプログルカゴンの分子生物学的特徴を発見しており、本研究ではそれらの特徴がもつ有麟目での系統学的背景を調べた。 有麟目インスリンの変異は有麟目の分岐時から蓄積されており、dN/dS の推定値からニホンヤモリのインスリンの変異には強い適応進化圧を受けたことが示唆された。一方、一つのホルモンのみをコードするプログルガゴンmRNAは高い組織・系統特異性をもって有麟目で発現・分布していた。今後、ニホンヤモリは有羊膜類の代謝機構の研究に有用なモデルとして寄与できると考えられる。
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