研究課題/領域番号 |
26440166
|
研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
堀口 涼 浜松医科大学, 光尖端医学教育研究センター, 技術職員 (70452969)
|
研究分担者 |
足立 直樹 浜松医科大学, 光尖端医学教育研究センター, 技術職員 (70300853)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 生殖細胞 / 性決定 / 性転換 / 性的可塑性 / ミツボシキュウセン / フローサイトメトリー / 卵巣 / 精巣 |
研究実績の概要 |
魚類の性決定システムは多様で、他の脊椎動物にみられる遺伝的な、或いは温度などの環境的な要因による性決定システムだけではなく、成魚においても性を転換する性転換現象が存在する。この魚類の性転換現象は、性転換魚の脳や生殖腺が高い性的可塑性(変わりやすさ)を有することで可能になると考えられてきた。しかしながら、近年の研究で、自然には性転換しない雌雄異体魚においても、実験的に性転換を誘導することに成功し、潜在的に性的可塑性が保持されていることが示された。 本研究では、これまで未解明であった生殖細胞と支持細胞の性的可塑性や性差を生み出す分子機構を明らかにするために、雌から雄へ性転換するミツボシキュウセンの雌雄生殖原細胞、未分化支持細胞についてトランスクリプトーム解析を行い、細胞種特異的に発現する遺伝子群や発現変動遺伝子群を同定し、これらの遺伝子群の機能解析を行う。 これまでの生殖細胞にGFPを発現するメダカを用いた予備的な実験で、セルソーターを用いて精巣や卵巣から生殖原細胞を分離することに成功しており、この方法はミツボシキュウセンにも有効であると考えられる。しかしながら、幹細胞マーカーを指標に分離した細胞が生殖原細胞であることを確認する必要があるため、生殖腺に存在する生殖細胞、支持細胞、ステロイド産生細胞のマーカー遺伝子のPCR系を確立した。今後、ミツボシキュウセン精巣および卵巣から単離された幹細胞性マーカー陽性の細胞集団はPCRで細胞種を確認した後に、トランスクリプトーム解析を行う。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究課題において、本年度中に雌雄生殖原細胞のRNA-Seq解析を行う予定であったが、現時点でその計画は達成できていない。 昨年度までに行った生殖細胞にGFPを発現するメダカを用いた予備的な実験で、セルソーターを用いて精巣や卵巣から生殖原細胞を分離することに成功しており、この方法はミツボシキュウセンにも有効であると考えられる。しかしながら、メダカでは生殖細胞マーカー(vasa-GFP)および幹細胞マーカーを指標に生殖原細胞を分離できたのに対し、ミツボシキュウセンでは細胞の分離を、細胞の大きさ(前方散乱)および幹細胞マーカーのみで行ったため、分離後の細胞は生殖細胞であることを改めて確認する必要があると考えた。そこで、生殖細胞、支持細胞、ステロイド産生細胞のマーカー遺伝子のPCR系を確立したので、今後早急に、ミツボシキュウセン精巣および卵巣から単離された幹細胞性マーカー陽性の細胞集団はPCRで細胞種を確認した後に、トランスクリプトーム解析を行い、本研究課題の推進に努めていきたい。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究の今後の推進方策として、まず早急に、雌雄生殖腺(精巣および卵巣)からの細胞の分離、PCRによる確認を行い、雌雄生殖原細胞のRNA-Seqを開始する。 メダカを用いた予備的な実験において、生殖細胞マーカー(vasa-GFP)および幹細胞マーカー陽性の生殖原細胞は、さらにHoechstを用いたSP(side population)活性において陽性・陰性の細胞集団に分離されるので、ミツボシキュウセンの生殖原細胞においてもSP活性を調べ、二型を示すようであればそれぞれの集団のRNA-Seq解析を行う。 RNA-seqのデータ解析中には、随時、細胞種に特異的な遺伝子の解析を進めていく。
|
次年度使用額が生じた理由 |
物品費のうち、次世代シークエンサーを用いたRNA-Seq解析費用が、研究の遅延のため、使用ができなかった。解析費用が高額なため、そのまま次年度使用額として繰り越す。
|
次年度使用額の使用計画 |
RNA-Seqに用いる細胞の分離法が確立されたので、研究の遅延があるものの、これを計画の通り遺伝子解析費用として用いる。
|