研究課題
花粉形成過程では種々の脂質系オルガネラが観察されるが、未だそれらオルガネラの動態・機能等の全貌は明らかではない。私は、これまでに開発してきた 広域TEM(透過電子顕微鏡)画像取得法を応用することで、網羅的で抜けのない葯全体におけるオルガネラマップの作成を試みた。本研究では、これら網羅的画像情報を利用し、脂質成分とオルガネラ構造との関連付けを行うことを目的としている。平成26年度、27年度と通して、広域TEM画像取得法における画像処理法の改良および作業効率の適正化等を行い、容易に広域の2次元画像を得ることができるようになった。しかしながら、2次元情報だけではオルガネラ構造の本質を見誤ったり、オルガネラの数や占める体積の算出等が困難であるなどの問題があり、やはりそれは無視できない欠点であることが明らかとなってきた。そこで、平成29年度は3次元情報を得るべく新しい手法開発も並行して行った。これまで3次元情報を得るには、TEMの連続切片構築法を用いることが一般的であったが、それには熟練の試料作成技術が必要なことと、切片のロスや歪みが生じやすいことが問題であった。そこで、近年開発されつつあるSEMを用いた連続切片の観察法を用いることで、抜けのない3次元の葯構造を得ることにした。いくつかの改良を行い、技術的に問題なく作成することができた。一方、葯に影響が現れる脂質系突然変異体の観察も行った。MVA経路およびMEP経路に関連する突然変異体では、葯タペータムにおけるオルガネラに異常が生じることが明らかとなり、現在論文にまとめるべく執筆中である。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (1件)
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